【新日本】「世界一テクニカルなレスラー」ザックがついに頂点に「オガワサン、やったぜ!」

AI要約

ザック・セイバーJr.がG1クライマックスで初優勝し、日本での長い苦労の末に悲願のトロフィーを手にした。

決勝戦では複合サブミッションを駆使して辻陽太からギブアップを奪い、英国人として初の優勝となった。

ザックは次なる目標として両国国技館でのIWGP世界ヘビー級戦を挙げており、周囲への感謝と親交を示す技名を投入した。

【新日本】「世界一テクニカルなレスラー」ザックがついに頂点に「オガワサン、やったぜ!」

<新日本プロレス:両国大会>◇18日◇東京・両国国技館

 デビュー20年、日本に来て13年の苦労人が、ついに頂点に立った。

 G1クライマックス決勝が両国国技館で行われ、ザック・セイバーJr.(37)が、春のニュージャパンカップに続いて春夏連覇を狙った辻陽太(30)から得意の複合サブミッションでギブアップを奪って勝利。英国人として初優勝を飾った。試合後には「チームの仲間がいなければ、優勝は成し遂げられなかった」と、ユニットTMDKのメンバーとともにおいしそうに祝杯を挙げた。

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 変幻自在の関節技、グラウンドテクニックで「世界一テクニカルなレスラー」と言われるザックが、ついに悲願のトロフィーを手にした。決勝は、ザックが辻の左腕を徹底して攻め、辻は代名詞ジーンブラスター(スピアータックル)などでザックのボディを痛めつける死闘となったが、ザックが一瞬の勝機を見逃さなかった。

 ラリアットにきた辻の腕を取るとグラウンドに移行。次々に形を変えて関節技を決め、最後は上半身と下半身を同時に締め上げる複合技の「クラーキーキャットG1・34ウィナー・テッカーバージョン」で31分4秒、ギブアップを奪った。「ラストチャンスだと思っていた」という8度目のG1で、初めてたどり着いた決勝の舞台でスキルを見せつけた。

 試合後のマイクでは「ヨシナリ・オガワ、オガワ先輩、プロレス人生、オツカレサマデシタ! オガワサン、I f**king did it!(小川さん、やったぜ!)」と、最初に日本で参戦したプロレスリング・ノアで多くの技術を吸収し、先ごろ引退を表明した小川良成に放送禁止用語を交えながら感謝を叫んだ。

 バックステージでも「みんながいなければ勝てなかった。特にマイキー(ニコルス)とシェイン(ヘイスト)の2人がいなければ」とTMDKの仲間と缶ビールを開けて抱き合った。

 日本で長い時間を費やしてきたからこそ、周囲の人々に感謝する気持ちは強い。試合では小川の4の字ジャックナイフ固めや、新日本の象徴であるアントニオ猪木の卍(まんじ)固めも繰り出した。勝負を決めた技にはタイチと組んでいた「デンジャラス・テッカーズ」の名前をつけた。すべては周囲へのオマージュだ。ザックは「(小川さんの技は)ちょっとしょっぱかったね。難しいんだよ」と笑った。

 G1優勝者は来年1月の東京ドーム大会でIWGP世界ヘビー級王者(現在は内藤哲也)と対戦するのが慣例だ。しかしザックは「1・4はちょっと遠いね。ザックは両国が一番好きだよ。両国でタイトルマッチが良いと思う。次の両国大会はいつだっけ? 10月14日? ザック、IWGP世界ヘビー級、挑戦する~!」と次なる目標に照準を合わせた。

 ◆ザック・セイバーJr. 1987年7月24日、英ケント州シェピー島生まれ。本名ルーカス・イートウェル。04年4月に地元英国でデビュー。08年からノアに本格参戦。小川良成との「日英テクニシャン・タッグ」でGHCジュニアヘビー級タッグ王座を2度獲得。16年にはWWEクルーザー級クラシックにも出場。変幻自在の関節技、グラウンドテクニックで世界中から注目を浴びた。17年3月から新日本参戦。ヘビーに転身して3度IWGPタッグ王座を奪取。ユニットはTMDK所属。186センチ、96キロ。