“藤井聡太14歳の30連勝を阻んだ男”佐々木勇気とは何者か「NHK杯で藤井撃破→竜王戦に挑戦」「スポーツ青年…最近の趣味は盆栽や書道」

AI要約

佐々木勇気八段が竜王戦挑戦者決定戦で広瀬章人九段に勝利し、藤井聡太竜王への挑戦権を獲得した。

佐々木の棋歴やエピソード、藤井との因縁、竜王戦七番勝負の展望について解説が行われている。

佐々木は16歳で四段昇段し、順位戦や各棋戦で活躍。藤井に30連勝された経験も持つ。

“藤井聡太14歳の30連勝を阻んだ男”佐々木勇気とは何者か「NHK杯で藤井撃破→竜王戦に挑戦」「スポーツ青年…最近の趣味は盆栽や書道」

 第37期竜王戦挑戦者決定戦第2局は8月13日に行われ、佐々木勇気八段(30)が元竜王の広瀬章人九段(37)に勝って2連勝した。藤井聡太竜王(22=名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖を合わせて七冠)への挑戦権を得た佐々木は、タイトル戦に初めて登場することになった。佐々木の棋歴とエピソード、藤井の四段時代に30連勝を阻んだ佐々木の意地、NHK杯戦決勝で2回連続で対戦した両者、竜王戦七番勝負の展望などについて、田丸昇九段が解説する。【棋士の肩書は当時】

 佐々木八段の棋歴とエピソードをまず紹介しよう。

 1994年8月5日にスイス・ジュネーブで生まれた。父親の仕事の関係で2歳までフランスにいて、その後は埼玉県三郷市で育った。5歳で将棋を覚えると、たちまち上達した。2003年の小学生倉敷王将戦・低学年の部で優勝。04年には小学生名人戦で優勝した。小学4年での優勝は、94年の渡辺明(九段)以来だった。

 04年9月に石田和雄九段門下で、棋士養成機関である奨励会に6級で入会。以後は順調に昇進し、08年4月に三段に昇段。4期目の三段リーグで14勝4敗・1位の成績を挙げ、10年10月に四段に昇段して棋士となった。16歳1カ月でのプロ入りは6番目の年少記録だ。

 佐々木は四段昇段について、このように語っていた。

「4期目の今期は6勝4敗という絶望的な状況となりましたが、諦めずに最後まで頑張ろうと決めたことが昇段につながりました(以降は8連勝)。今後の道のりは厳しいと思いますが、三段時代に積み重ねた経験と研究を発揮し、一歩一歩駆け上がっていきたい。目標はタイトル獲得です」

 佐々木はプロ入り後、竜王戦や順位戦をはじめに各棋戦で活躍した。盤外では棋士たちとバスケットやフットサルを楽しむスポーツ青年だった。

 そんな佐々木が強い対抗心を燃やしたのが、16年10月に最年少記録の14歳2カ月で四段に昇段した藤井聡太だ。

 藤井四段は16年12月のデビュー戦に勝った後、連勝街道を邁進していった。そして17年6月26日に竜王戦決勝トーナメント1回戦で、6組優勝者の藤井は5組優勝者の増田康宏四段(当時19)と対戦。その開始時に東京の将棋会館の特別対局室の片隅から藤井をじっと見つめていたのが、4組優勝者の佐々木五段だった。

 その場にいた理由は、佐々木は2回戦で1回戦の勝者と対戦するからだった。

 メディアは藤井の連勝に注目していて、対局のたびに多くの報道陣が集まった。佐々木はそんな空気に慣れたいと思い、観戦記の解説者として立ち会った。事前偵察でもあった。

 藤井は増田に勝ち、前人未到といえる29連勝の最多記録を達成した。佐々木はその一局を見たのち、このように意気込んだ。

「周りの空気に飲まれずに連勝を止める気で臨みます。藤井四段の勝利へと導く読みのスピードには凄みを感じますが、それにひるむことなく自分の将棋を指したい」