パリ五輪サッカー日本代表「ナントの激闘」と「 忘れえぬ美食」(2)アルゼンチン戦「カスレー」と日韓W杯「コンビニ飯」、いつかの「ラーメンと地酒」

AI要約

サッカー取材には欠かせない栄養補給を通じて、食事から土地や文化を知ることの重要性が語られている。

フランスワールドカップでの西部トゥールーズでの取材時に、カスレーという地元料理を食べる機会があったが、忙しい日程の中でなかなか食べる機会がなかった。

それでも、メディアセンターの食堂でも地元の名物料理やワインが提供され、食事を通じて地域の文化を感じることができた。

パリ五輪サッカー日本代表「ナントの激闘」と「 忘れえぬ美食」(2)アルゼンチン戦「カスレー」と日韓W杯「コンビニ飯」、いつかの「ラーメンと地酒」

 サッカー取材に欠かせないものがある。旅先で、しっかりと栄養を摂ることだ。蹴球放浪家・後藤健生にとっては、食事はただの栄養補給ではない。その土地や国そのもの、そして文化を教えてくれるものなのだ。

 ワールドカップのときのメディアセンターの食事なんて、そんなものなのですが、さすが、フランスは美食の国だけのことはありました。

 それなりのメニューが揃っていたのです。

 たとえば、フランス・ワールドカップで日本が初戦を戦った南部のトゥールーズ。ここのメディアセンターには「カスレー」というメニューがありました。

 フランス南部の料理で、各地に独特のカスレーがあります。大きなソーセージと豆類を煮込んだような料理です。

 僕は、まだこれを食べたことがなくて、「トゥールーズに行ったときにはぜひ食べよう」とは思っていたのですが、ワールドカップ初出場というのでメディアも盛り上がっていて、毎日のように原稿を書く仕事や、放送関係の仕事がありました。

 しかも、グループリーグの間は毎日TGV(高速鉄道)に乗って移動の連続です。アルゼンチン戦の前日にはリヨンで韓国対メキシコ戦を観戦。アルゼンチン戦の翌日も、リヨンに戻ってコロンビア対ルーマニアがあります。

 つまり、レストランに行っている時間なんかなかったのです(カタール大会の良かったのは、1日に2試合ずつ観戦しながら、さらにレストランに立ち寄る時間があったことでした)。

 アルゼンチン戦のときも「カスレーは無理だなぁ」と思ってスタジアムに行ったのですが、メディアセンターの食堂に行ってメニューを見ると、なんとカスレーがあるではありませんか!

 フランスでは、メディアセンターでも、その土地の名物がちゃんと置いてあったのです。もちろん、ちゃんとしたレストランと比べて、味がどの程度かはよく分かりませんが、それなりにちゃんとした料理が食べられたのです。

 しかも、メディアセンターにもちゃんとワインが置いてあります。そりゃ、そうでしょう。食事をするのに、ワイン抜きということは考えられませんよね。

 そして、ワインを注文するときも「何にするの?」と聞かれます。「赤」、「白」というだけではダメなのです。「カベルネ・ソーヴィニヨン」とか、「シャルドネ」とか言わないと売ってくれないのです。