鬱でプレー断念…学芸大→東大→専門学校、異色ルートで「J入り」目指すフィジカルコーチの思い【インタビュー】

AI要約

米田一稀さんは現在、東京大学ア式蹴球部のフィジカルコーチ兼トレーナーを務めている。彼は異色の経歴を持ち、プロ入りを目指して専門学校で学びながら活動している。

米田さんは高校時代に鬱になり、選手を引退してマネージャーに転向。そこで選手以外の立場からサッカーに向き合いたいという思いが芽生えた。

大学でもサッカー部で学生トレーナーを務め、 relating他カテゴリ0407;その経験が彼の将来のキャリアを形作る上で重要だった。

鬱でプレー断念…学芸大→東大→専門学校、異色ルートで「J入り」目指すフィジカルコーチの思い【インタビュー】

 東京都・神奈川サッカーリーグ1部を舞台に、激闘を続ける東京大学運動会ア式蹴球部(体育会サッカー部。以下ア式蹴球部)。過去には久木田紳吾氏(元ファジアーノ岡山、松本山雅FC、ザスパクサツ群馬)、添田隆司氏(元藤枝MYFC、アミティエSC京都/現おこしやす京都AC)などプロ選手も輩出してきた。

 そんなア式蹴球部で現在、フィジカルコーチとしてプロ入りを目指す人物がいる。米田一稀さんだ。米田さんは東京学芸大学を卒業したのち、現在は医療系の専門学校に通いながら東大ア式蹴球部のフィジカルコーチ兼トレーナーを務めている。学芸大→東大→専門学校という異色とも言えるルートでプロ入りを目指す米田さんの思いとはなんなのか。インタビューを行なった。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 神奈川県茅ヶ崎市で生まれた米田さんは、小学校1年生から地元のサッカークラブでサッカーを始め、高校では県下有数の進学校・湘南高校に進学。高校でもサッカー漬けの日々を送るなかで、ある出来事が訪れた。

「高校3年生の春に鬱になりました。そのためプレーを続けることが難しくなり、やむなく選手を引退してマネージャーに転向したのですが、当初は正直言ってマネージャーの仕事にやりがいを感じることができなかったんです。

 でも周りの運動部のマネージャーを見てみると、自ら望んで熱心にマネージャー活動をしている姿が目に留まりました。自分がつまらないと感じるものを楽しんでいる人がいるという事実に直面して、選手としてしかサッカーと向き合っていなかった自分の視野の狭さを痛感しました。それをきっかけに選手以外の立場からサッカーと向き合うことで視野を広げたいと考えるようになり、マネージャーやトレーナーの業務に興味を持ち始めました」

 そうしてトレーナーとしてのキャリアを始めた米田さんは、東京学芸大学へ進学。入部したサッカー部で学生トレーナーを務めることになる。

「もともと教師になりたかったということもあり、東京学芸大学に進学しました。大学のサッカー部も見学するなかで、学生トレーナーという役職があるのを知り、自分の高校での経験を生かせると考え、入部を決めました。

 そこでの体験は本当に楽しくて、刺激的でした。当時は学芸大学も関東リーグに所属しており、毎年プロも出るような状況で、そういった環境で揉まれるなかで自分もトレーナーとして成長していくのが楽しかったです」