「主力移籍」浦和レッズ、「監督交代」サガン鳥栖戦で浮上した「今後の課題と希望」(2)松尾佑介「独走弾」、西川周作「退場」2つのミス

AI要約

鳥栖はダイレクトプレーを駆使して数的優位を作りつつ、浦和との試合は1対1の引き分けに終わった。

松尾の得点で浦和が追加点を挙げ、西川が退場するなど、両チームにミスが見られた試合だった。

試合全体を通して、一瞬の判断が勝負を左右し、細かい瞬間の選択ミスが大きな影響を与えることが示された。

「主力移籍」浦和レッズ、「監督交代」サガン鳥栖戦で浮上した「今後の課題と希望」(2)松尾佑介「独走弾」、西川周作「退場」2つのミス

 明治安田J1リーグ第26節、サガン鳥栖対浦和レッズ戦が駅前不動産スタジアムで行われた。試合は1対1の引き分けに終わった。

 鳥栖は川井健太前監督が契約を解除され、新監督の木谷公亮が就任した。一方の浦和は、キャプテンの伊藤敦樹が海外クラブへの移籍する準備のために試合には出場していない。両チームともに緊急事態の状況下での戦いとなった。コラム前半に続いて後半でも、試合の中で、ピッチの上で何が行われ、何が行われていないのかに焦点を当てて記述していく。では、49分の場面を解説していこう。

 鳥栖は完全に、浦和の中央スペースを崩している。2対2の局面を、ダイレクトプレーを駆使して2対1の局面に塗り替えている。鳥栖の攻撃面でのやりたいことは、こうしたダイレクトプレーで数的優位を作っていくことだろう。

 71分からのプレーを見てみよう。浦和の松尾佑介が左サイドを独走してゴールを決めた場面。鳥栖の右サイドバック(以降、SB)原田亘がドリブルする松尾を追いかける。

 この鳥栖の失点は、2つのミスが重なっている。一つ目は、センターバック(以降、CB)の山浩介がまったくカバーに行っていないことである。松尾がペナルティエリアに侵入する前あたりでカバーに入らなければならない。

 2つ目は、隣にいるCBの木村誠二が「行け」とコーチングしなければならない。おそらく、山は、原田が追いついて松尾を止めるだろうと思い込んだのだろう。だからカバーに行かなかったとしか考えられない。

 続いては78分に、GK西川周作が退場した場面である。

 浦和のCBの背後に蹴られたボールを、井上がヘディングで西川にパスしようとする。そのボールが短かったため、CFマルセロ・ヒアンに先に触られて、西川が相手を倒してレッドカードをもらい、退場してしまう。

 ここでは浦和の2つのミスが重なっている。まず1つ目は、CBマリウス・ホイブラーテンがヒアンの進路妨害をしていないことである。つまり、走っている前に立つとかヒアンのスピードを緩める作業をしなければならない。

 2つ目は、井上がヘディングでパスを選択したことである。先にも指摘したが、井上はヘディングが得意な選手であるので、自分のヘディングで西川まで送れると考えた。しかし、実際は距離が遠かったので届かなかったのである。

 ここはヘディングで返すフリをして、GKと逆側にトラップしてターンする。ヒアンは最初から狙っていて全力で走ってきている。しかし、井上にはヒアンの動きが見えていない。井上からすれば、西川がもっと自分に寄ってくれればという思いもあっただろうし、西川からすれば、ヒアンの動きが見えていたので前に出ていくのが怖い場面でもある。

 実際に映像を見れば、前に出る前に2歩下がっているので、下がらずに最初から前に出ていたら先にボールに触れていたかもしれない。

 冒頭で述べたように、激闘ハイライトなどと並行してこのコラムを読んでいただければ、ピッチで何が行われて何が行われていないのかがわかっていただけるかと思う。

 一瞬の、瞬間の判断が勝負を左右する。全力でプレーしていても、判断の遅さや対応の選択ミスで失点に結びついてしまう。こうした細かい事象を、このコラムで少しでも感じとってもらえればと考えて書いている。

 浦和のサッカーに関しては、別の機会で述べようと思うのだが、この試合でもわかるように、チームにおいて相当に厳しい状況になっていることは確かである。