「現役中の経験や手術がこの仕事を目指したきっかけ」カープ・苫米地鉄人さんが語る、プロ球団トレーナーの役割

AI要約

現役時代にカープでプレーした苫米地鉄人さんがトレーナーとして復帰し、選手の身体的サポートを担当している。

キャンプからシーズン中にかけて、選手たちの動きを観察し、試合中も緊急対応が必要な状況を見極めている。

現役引退後は専門学校で鍼灸の国家資格を取得し、整形外科で勉強を積んだ経験を持つ。

「現役中の経験や手術がこの仕事を目指したきっかけ」カープ・苫米地鉄人さんが語る、プロ球団トレーナーの役割

 カープ球団を支える様々な人たちは、どんな仕事をしているのか?本連載では、さまざまな立場・場所からチームを支える人たちにスポットライトを当て、裏側の役割を探っていく。

  今回は、現役時代に投手としてカープでプレーした苫米地鉄人さん。現役引退後は専門学校で国家資格を取得し、2010年にトレーナーとしてカープに復帰。トレーナー歴13年目となる苫米地さんに、現在の仕事、きっかけについて聞いた。(全2回・第1回)

◆練習中も試合中も、常に選手の体をサポート

 カープにトレーナーとして復帰してから、今シーズンで13年目になります。現在チームのトレーナーは一軍に6名、二軍に5名、三軍に3名という体制で、現在僕は一軍担当として携わらせていただいています。僕らの仕事を分かりやすく言うならば『選手の身体的サポートをすること』です。

 一軍トレーナーのうち4人は僕も含め治療がメインで、2人がトレーニングやコンディショニングを行います。2人は治療もしっかりできるので、全員で選手たちをサポートしているイメージです。1年間の動きで言うと、キャンプから仕事が始まります。キャンプ中も基本的にやることは変わらないですが、本当に人数も多いですし練習時間も長く、治療の時間も練習終わりなので少し長くなりますし、人数も増えるとそれなりに労働時間は増えます。シーズン中はチームに帯同するので、現役時代と同じく移動が多いですね。

 シーズン中は基本的に試合前練習中に選手の動きを見て、動きがいつもと違ったら声をかけたりします。普段の何気ない会話から観察していますが、何気ないところでちょっと変な動きをしていることがあります。試合中は正直、アドレナリンが出ていて体のことばかりを気にしてプレーしていないと思うので、 練習中の少しリラックスしている雰囲気の時にそういう動きが出やすいので注意してみるようにしています。

 試合中はベンチに入っていて、ベンチ裏でも仕事はあります。裏で1人待機している時は試合状況を見ながら、ケガの選手がいたら対応をしています。やはり試合中は緊急対応が伴う場面もあるので、気が抜けないですね。

 僕がトレーナーを目指すきっかけは現役時代の経験が元になっています。プロ入りしてから現役の時もそうですし、小学校の頃から野球をプレーする中で治療をしていただいたり、ストレッチなどを教えてもらったり、いろんなトレーナーと関わってきました。現役時代には手術も経験しましたし、自分の体に対していろいろ考えながら過ごしている中で、引退後にそういう道に進んでみたいと思うようになりました。

 2006年限りで現役引退した直後は進路も決まっていませんでした。いろんな方にアドバイスをいただきながら周囲の後押しもあり、トレーナーを目指す道を選び、翌年から広島市の専門学校の鍼灸科に進学しました。専門学校には3年間通い、国家資格を取得したのですが、勉強をそんなにしてこなかったタイプなので……(苦笑)。少ししんどい面もありましたが、バイトをしながら通い、先輩方のいろんな話を聞きながら、治療も勉強に関してもそうですが、いろいろ学びながら過ごした3年間でした。資格取得後は整形外科で1年半程度勉強させていただきました。

(後編へ続く)