【レスリング】銅の尾崎野乃香、慶大女子で初のメダリスト 原点は小学校での「劇の会」

AI要約

レスリング女子68キロ級の尾崎野乃香(21=慶大)が、初出場で銅メダルを獲得した。

尾崎は代表落選から階級を上げて、3位決定戦で勝利し、銅メダルを手にした。

小学生時代からレスリングに情熱を燃やし、劇の会で「オリンピックに出る」と宣言していた。

【レスリング】銅の尾崎野乃香、慶大女子で初のメダリスト 原点は小学校での「劇の会」

<パリオリンピック(五輪):レスリング>◇6日(日本時間7日)◇女子68キロ級◇シャンドマルス・アリーナ

 レスリング女子68キロ級の尾崎野乃香(21=慶大)が、初出場で銅メダルを獲得した。5日の準々決勝で敗れたが、6日の敗者復活戦から勝ち上がって、3位決定戦で東京五輪銀メダルのオボルドゥドゥ(ナイジェリア)に3-0で勝ち、銅メダルを獲得した。代表落選した62キロ級から、階級を上げて、たどりついたパリで表彰台に立った。

 初出場の尾崎は、敗者復活戦から勝ち上がり、銅メダルを手にした。3位決定戦を制すると「やったー!」と叫んで両拳を突き上げた。「切り替えられた自分を褒めたい。メダルを持ち帰れて心からうれしい」と歓喜に浸る姿が、小学生の時の舞台に重なった。

 「オリンピックに出る!」。育った成城学園小での「劇の会」。学校劇の発祥校とされ、その歴史は1921年にさかのぼる。既存の芝居ではなく、各自の夢を題材にしたオリジナル作品で、尾崎も舞台に上がった。シングレット姿で、皆の前で堂々と宣言した。両拳を突き上げながら。

 7歳でテレビで見た浜口京子に「格好いい」とときめき、競技を始めた。競技を知らないクラスメートも多かったが、「劇の会も含めて、みんな私が好きなものを認めてくれた」。

 人と違う道。「あの頃が原点かな」と振り返る。違いを認め合う環境があり、いまがある。現在は慶大に通うが、国内女子レスリング界では異例の選択ではない。小学生で日本一になった経歴から、中学から高校までは日本オリンピック委員会(JOC)が関わるエリートアカデミーで英才教育を受けたが、卒業後は自ら受験勉強をして慶大に合格した。「レスリングだけではなくその後の人生も考えて」と宗教学などを学ぶ。複数の練習拠点も自分で見つけた。

 慶大女子では出身者も含め初のメダリストになった。初の「いばらの道だった。だからこそ金メダルを取りたかった。でも私の今の実力はここ。これを認めます」とほほ笑む。そして「劇の会は五輪に出る、までが目標でしたから!」とニコッとした。あの時に描いた未来は実現させた。「次、ですよね」。4年後、その先に、その続きに最も輝くメダルを手にしてみせる。

 ◆尾崎野乃香(おざき・ののか)2003年3月23日、東京都生まれ。帝京高-慶大。世界選手権は女子62キロ級で21年は3位、22年は優勝。23年杭州アジア大会で2位。65キロ級では23年世界選手権優勝。166センチ。