大谷翔平の「30―30」、ドジャース史上13年ぶり3人目 前回達成者は『泥にまみれたMVP騒動』の当事者

AI要約

大谷翔平選手がメジャー自身初の「30本塁打、30盗塁」を達成した。

13年ぶりの「30―30」達成者は、のべ4度目。

過去のMVP受賞者に関する薬物検査問題が浮上し、混乱を招いた。

大谷翔平の「30―30」、ドジャース史上13年ぶり3人目 前回達成者は『泥にまみれたMVP騒動』の当事者

◇3日(日本時間4日)MLB アスレチックス0―10ドジャース(オークランド)

 ドジャースの大谷翔平選手(30)は敵地のアスレチックス戦で3盗塁を決め、今季31盗塁。33本塁打と合わせ、メジャー自身初の「30本塁打、30盗塁」を達成した。

 ドジャース選手の「30―30」は13年ぶり3人目(のべ4度目)。他はラウル・モンデシー(1997年に30発、32盗塁、99年に33発、36盗塁)とマット・ケンプ(2011年に39発、40盗塁)。前回達成者のケンプは、大谷のネズ・バレロ代理人と浅からぬ因縁がある。ケンプは「30―30」達成の11年、リーグトップの39本塁打と126打点に加え、同3位の打率3割2分4厘、同2位の40盗塁。それでも、MVP投票は2位だった。

 同年のMVPはライアン・ブラウン(ブルワーズ)。リーグ2位の打率3割3分2厘、33本塁打、111打点、33盗塁。WARはケンプ8・0に対し、ブラウン7・7だったが、MVP得票7ポイント差と大接戦の末にブラウンが戴冠した。

 問題はその後だ。ブラウンは同年12月、薬物検査で検査史上最高レベルのテストステロンが検出されたと報じられた。だが翌12年1月、バレロ代理人とともに「検査官が尿サンプルの取り扱いを誤った」と異議申し立て。ロブ・マンフレッド弁護士(現コミッショナー)を含めた委員会は、メジャー史上初めて検査結果を覆した。『逆転無罪』を勝ち取ったブラウンは春季キャンプで「検査官は同地区ライバルのカブスファンで、反ユダヤ主義(ブラウンはユダヤ人)だからサンプルを不正に取り扱ったのだろう」と声明を発表した。

 だがその後、13年に発覚した大掛かりな禁止薬物事件、通称『バイオジェネシス・スキャンダル』で名前が浮上。ブラウンはなおも「弁護士が以前の薬物検査に関してコンサルティングを受けていただけだ」と弁明したが、結局は真っ黒だったと判明。同年に大リーグ機構から65試合と同年ポストシーズンの出場禁止を命じられた。

 11年に「ブラウンのMVPを祝福する」と語っていたケンプだが、事件の露呈に「11年のMVPを剝奪すべきだ」と激怒。当時のセリグ・コミッショナーはこれを実現せず、『泥にまみれた11年MVP騒動』は、何とも後味の悪い結末となった。