〈大麻使用で直前に代表剥奪→パリ五輪出場〉アメリカの世論が沸騰した陸上女王リチャードソンの復活劇から考える「体操・宮田笙子の歩む道」

AI要約

体操の宮田笙子が喫煙と飲酒によりパリ五輪代表を辞退し、アスリートシャカリ・リチャードソンが大麻使用で資格停止処分を受けた経緯を紹介。

リチャードソンは東京五輪にも出場予定だったが大麻使用が原因で参加できず、パリ五輪では初めてのオリンピック出場を果たすことになった。

彼女の資格停止処分に対する批判や賛否両論の意見、有名人たちのコメントについても言及。

〈大麻使用で直前に代表剥奪→パリ五輪出場〉アメリカの世論が沸騰した陸上女王リチャードソンの復活劇から考える「体操・宮田笙子の歩む道」

 喫煙と飲酒の発覚により、パリ五輪代表を開幕直前に辞退した体操の宮田笙子。さまざまな議論を呼んだが、競技人生のこれからを懸念する人も少なくなかった。

 それらの声に思い起こすアスリートがいる。シャカリ・リチャードソン(アメリカ)だ。パリ五輪では陸上100m代表として出場。4×100mリレーにも出場が想定されている。

 リチャードソンにとってパリは初めてのオリンピックだ。でも本当は、2度目になるはずだった。一度は代表に選ばれた東京五輪に出ることがかなわなかったからだ。なぜ出られなかったのか。理由は大麻の使用にあった。

 2021年6月、リチャードソンは代表選考会である全米陸上選手権の100mで優勝。同種目の金メダル候補にもあげられた。

 暗転したのはその翌月のことだった。

 7月2日、米NBCの情報番組にリモートで出演したリチャードソンは、代表選考会を前に大麻を使用したことを告白。大会開幕の2日前に、実の母が亡くなったことを記者から知らされ、辛い気持ちをまぎらわせるためだったと理由を述べ、謝罪した。

「自分が何をしたのか、何をすべきか何をしてはいけないかを知っています。それでも、その決断をしました。言い訳をするのではなく、共感を求めてもいません」

 その直後、アメリカのアンチドーピング機関が、禁止薬物の大麻に対する陽性反応により1カ月の資格停止処分を科すことを発表した。それに先駆けて自ら明かしたのである。

 すると、リチャードソンへの共感や処分への批判がSNS上で多数アップされた。大麻はドーピングの禁止薬物ではあるが違法薬物ではなく、州によって使用が認められていることから処分を疑問視する意見も少なくなかった。

 著名人も声を上げた。オリンピックで4つの金メダルを獲得した陸上界の英雄であるマイケル・ジョンソンは「なぜ大麻が禁止なのか分からない。両親を亡くすことはどんな気持ちか分かる。理由を知らずに資格停止にするのはばかげている」と投稿。NFLのトップ選手の一人であるリチャード・シャーマンは「この若者をとても誇りに思うと同時に、(リチャードソンに批判的な)社会に不満を感じている」とメッセージを発した。スポーツ界に限らず、俳優など各界からも同趣旨の言葉があげられた。