【五輪代表】決勝弾の山本理仁「自分をほめてあげたい」泥臭く70メートル駆けこぼれ球押し込む

AI要約

日本が1次リーグ第2戦でマリを1-0で破り、2大会連続の準々決勝進出を決めた。

MF山本理仁が後半37分に決勝の先制点を挙げ、GK小久保玲央ブライアンが無失点で守り切った。

若きサムライたちは30日にイスラエルと対戦し、首位突破を目指す。

【五輪代表】決勝弾の山本理仁「自分をほめてあげたい」泥臭く70メートル駆けこぼれ球押し込む

<パリオリンピック(五輪):サッカー・日本1-0マリ>◇27日◇男子1次リーグD組◇ボルドー競技場

 【ボルドー(フランス)27日(日本時間28日)=佐藤成】日本が1次リーグ第2戦でマリを1-0で破り、2連勝で2大会連続の準々決勝進出を決めた。後半37分にMF山本理仁(22=シントトロイデン)が決勝の先制弾。試合終了間際にはPKのピンチにGK小久保玲央ブライアン(23=シントトロイデン)が立ちはだかり、無失点で切り抜けた。年齢制限のないオーバーエージ(OA)を活用せず、23歳以下のメンバーのみでの8強入りは初。歴史を塗り替えた若きサムライたちは、30日(日本時間31日)に首位突破を目指してイスラエルと対戦する。

 パリ五輪聖火ランナーを務めた英雄ジダンがかつて背番号7を背負った地で、日本の「7」山本が、進化を示す一撃を放った。0-0の後半37分。自陣からFW細谷にパスを預けると、ゴール前まで走り込み、仲間のシュートのこぼれ球を押し込んだ。先制の2戦連発弾が貴重な決勝点となった。

 「めちゃくちゃしんどかったですけど、(パスを託した)マオが1本その前に同じような形があったので、入れてくれると信じて、あそこにこぼれてくれると信じて走り込んだのが点につながったと思う。自分をほめてあげたい」

 大会前まで代表での得点数は2。ストライカーというよりゲームメーカータイプだが、大舞台で勝負強さを発揮した。この日のゴールは、約70メートルを走って泥臭くスライディングで決めた。ピッチ全体を駆け、豊富な運動量で攻守に貢献する選手を表現する“代名詞”に自身をなぞらえ、「結果に『ボックス・トゥ・ボックス』が出ていると思う」と胸を張った。

 この得点で、常に意識する世代のトップランナーの記録を視界に捉えた。同い年で小学時代に対戦経験もある久保建英(Rソシエダード)。前回東京五輪では同じ7番を背負い、3戦連発。当時トレーニングパートナーを務めた山本は主役の活躍を見守るだけだったが、3年後に覚醒した。

 才能は幼い頃から光っていた。東京Vの下部組織で頭角を現し、U-15から年代別代表に名を連ね続けた。高3でトップチーム昇格を果たすなどエリート街道を歩んできたが、輝かしいキャリアも「おごり」とは無縁だった。東京Vの寺谷真弓アカデミーダイレクター(52)が懐かしく振り返る。「みんなより早く(ピッチを駆け)上がってすごいね、と声をかけると『全然ですよ、俺らの代には久保建英がいるので』と返ってきました」。同じ左利きの天才の存在が、山本を高めてきた。

 久保がクラブ事情で外れたパリ五輪で、見事な活躍。23歳以下のメンバーのみで初めて準々決勝進出を決め、歴史を塗り替えた。「OAなしでいけるのかという疑問があった中で、俺らはやれるという力を示せたと思う」。久保もなしえていない56年ぶりのメダル獲得へ、その足で突き進む。