【パリ五輪】続く池江璃花子の挑戦 「やっぱりここで結果を出してこそ、強い選手」復活アピール

AI要約

池江璃花子が白血病からの復帰後、個人種目での挑戦を果たす。

20年8月に復帰後初めて臨んだレースに緊張し、準決勝進出を果たす。

オーストラリアでのトレーニングを経て、再び強い選手としての挑戦を続ける。

【パリ五輪】続く池江璃花子の挑戦 「やっぱりここで結果を出してこそ、強い選手」復活アピール

◆パリ五輪 第2日 ▽競泳(27日、ラデファンス・アリーナ)

 27日に競技が始まり、女子100メートルバタフライ予選で、3大会連続出場の池江璃花子(24)=横浜ゴム=が競泳ニッポンの初陣として臨み、57秒82の全体14位で準決勝進出を決めた。白血病の闘病による休養から復帰後では初、2016年リオ五輪以来2大会ぶりに個人で挑んだ五輪で、世界へ復活をアピールした。

 願った勝負の舞台に、池江が戻ってきた。16年リオ五輪以来、8年ぶりに個人種目として挑んだスタート直前の笛の合図。ブロックに足を掛けると、異変を感じ取った。「レース前、すごく足が震えて。すごく緊張して。『あ、これ、緊張の体の動かなさだな』と」。20年8月に闘病から復帰後、初めて臨んだレース以来の緊張感。「久しぶりすぎる」という会場の大歓声は、夏の祭典を感じるには十分だった。

 白血病闘病から競技復帰後、1年で迎えた前回東京五輪はリレー3種目に出場。「奇跡」と言われた舞台に立ったが、パリへの思いをより強くした夏でもあった。かつてバタフライの世界ランクは1位までいった。「個人で勝負したい」。22年からはオーストラリアに渡ることを計画。ただ体調面などが整わず、同年は代表落選も経験。「何も成長していない」と涙も流した。

 大学入学直前から奪われた日常。退院後は遅れた“普通”の学生生活を取り戻すように、公私で全力だった。時には私生活に疲れ、水泳に影響が及ぶこともあった。周囲への甘えを振り切るように、昨秋から希望していたオーストラリアに拠点を移した。名将、マイケル・ボール氏の指導はチームの部員が1年で約半数になるほど厳しく、強度が高い。練習に耐え、自己管理も含めて100%、競泳と向き合ってきた。

 パリは、28年ロス五輪で再びメダル争いをするためのプロセス。実力を取り戻すことに時間がかかることは、誰よりも痛感している。その中で、復帰後初めて個人で挑んだ五輪のレース。「やっぱりここで結果を出してこそ、強い選手」と肌で感じた。ステップを一つ上がった。また新たなモチベーションを胸に、挑戦を続けていく。(大谷 翔太)