「かめはめ波するって言ったろ、ガハハ」大谷翔平の番記者が見た“TVに映らない”古巣エンゼルス戦…HRボール取材→ド軍コーチ大喜びのワケ

AI要約

大谷翔平が2か月ぶりに米国出張し、初の古巣エンゼルスとの対戦に臨む。

柳原直之氏の目から見た大谷の状況や周囲との関係性、大谷自身のコメントなどが明かされる。

大谷はリーグトップ22号2ランを放ち、世界一へ向けた渇望を感じさせる。

「かめはめ波するって言ったろ、ガハハ」大谷翔平の番記者が見た“TVに映らない”古巣エンゼルス戦…HRボール取材→ド軍コーチ大喜びのワケ

 日本ハム時代から長年にわたって大谷翔平の番記者を務める柳原直之氏の「テレビに映らない番記者レポート」を現地からお届け。大谷29歳最後の日々と、ドジャースの動向を追った。(全3回の第1回/第2回、第3回も配信中)

 6月21日の本拠地ロサンゼルスでのエンゼルス戦から約2カ月ぶり、今季2度目の米国出張に来ている。メジャー取材は日本のプロ野球と違って、試合前後にクラブハウスで取材できるのが大きな特徴の一つ。クラブハウスのちょうど真ん中のシャワールームの真横に大谷のロッカーがある。

「今日からまたよろしくお願いします」

 練習前、ロッカー前の椅子に座っていた大谷にあいさつすると、大谷は無言のまま、うなずいて手を上げた。自身の新居購入の報道をめぐり一部メディアがドジャースの取材パスを凍結されたとする報道もあったせいか、少しピリピリした雰囲気を感じたのは気のせいだろうか……。

《6月21日 VSエンゼルス(ドジャースタジアム)●2-3》

「ウェルカムバック(お帰り)」

 取材初日の21日は2カ月ぶりに会ったドジャース担当の米記者や球団広報が温かく出迎えてくれた。

 羽田空港で購入したキットカットの東京ばな奈味とイチゴ味を米記者や球団広報にお土産として配ると「これは米国にはない味だ。おいしい」と好反応を得られた。スポーツ紙の記者である私がテレビ、ラジオなど他メディアにも出演しているという噂をどこから聞いたのか、ある米記者から「日本で有名なのか?」、「出演料でこのキットカットをもっと買ってきてくれ」とイジられることもあった。

 キャンプから怒濤の数カ月をともに過ごし、ドジャース担当の日米メディアは同士のような関係になっている。

 この日は大谷にとって、古巣エンゼルスとの公式戦初対戦。エンゼルスの番記者や球団広報とも久々に再会した。

 日本のアニメ好きで知られる守護神エステベスは私を含めた日本メディアを見かけると「久しぶりだなあ」と流暢な日本語を披露した。人気漫画『ONE PIECE』のクロコダイルの声真似だという。大谷との対戦について問うと「9回の最後の打者で翔平を三振に取ったら(ドラゴンボールの)かめはめ波ポーズをするかも」と笑いながら予告していた。

 大谷は2試合連発となるリーグトップ22号2ランを放ち、全30球団との対戦での安打を達成。かつての仲間たちに代名詞の一発を見舞った。

「構えが大事。そこさえできていれば右も左も関係ない。感覚的に4月、5月より全然いいんじゃないかな。大きく違ってくるのは後半戦から。そこから先は経験がないので、楽しみにしたい」

 悲願の世界一へ向けた渇望が、大谷を突き動かしているようだった。