楽天 なぜ則本を守護神へ大胆に配置転換したのか 今江監督の現役時代対戦も踏まえた決断とは

AI要約

楽天の則本昂大投手が今季から抑えに転向し、リーグ2位の18セーブを記録している。今江監督も則本の働きを高く評価している。

昨オフにエースが移籍し、抑えの穴を埋めるために則本を起用する大胆な決断がなされた。則本は経験値や特性を生かして、役目を果たしている。

則本自身は充実感を抱えつつも、チームの現状に不満を持ち、さらなる活躍を目指している。

楽天 なぜ則本を守護神へ大胆に配置転換したのか 今江監督の現役時代対戦も踏まえた決断とは

 今季から抑えに転向し、ここまでリーグ2位の18セーブをマークしている楽天・則本昂大投手(33)。今江敏晃監督(40)は「本当によくやってくれている」と現時点での働きを高く評価。エースから抑えへの大胆配置転換について話を聞いた。

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 今江新監督にとって最初の大きな問題だった。昨オフ、チームの絶対的守護神・松井裕樹がメジャーへ移籍。クローザーが抜けた穴を埋める必要があった。

 そこで思いついたのが則本の抑え転向案だった。「先発でイニングを食わないといけない中で、もっと強い球を投げられると思った。僕は(先発として)思うような成績を残せていないと思っていた」。打撃コーチとして、ベンチで右腕の投球を見てきた上での構想があった。

 さらに、若き指揮官だからこその実体験も元にしていた。現役時代に則本と対戦経験があることで「とんでもない球投げるからね。1イニングで腕振っていったら」と球の強さ、空振りがとれるフォークを持っているなど、適性十分という判断だった。

 ただ、これまで毎年多くのイニング、勝ち星を積み上げてきたエースの配置転換には、周囲から慎重な意見もあった。それでも「先発は若いやつが出てこいよと。後ろ(抑え)はいろんなものを背負って投げないといけない。ドシッといてくれると助かるので、則本しかいないと思った。最終的には僕が決めた」。次世代のエース候補育成と、現状のチームを安定させる最善策だった。

 キャンプ、オープン戦と調整を重ねると、さすがの経験値で違和感なく役目を果たした。ここまでセーブ失敗はわずか1度だけ。現在ブルペンを担当する、永井1軍投手コーチも「かなり活躍してくれると思っていた。そこは揺るぎなく」と絶対的信頼を口にし「(抑え転向)大成功ですよね。そこが安定しているから、則本までって考えやすい」と存在の大きさを語った。

 則本自身は「よくできているかなと思います」と涼しい表情。これまで中6日で投げていた時から、瞬発系のダッシュを増やし、ウエートトレーニングを試合後に行うなど調整方法を変えているという。「オープン戦から(出力は)出せてるのかな」とコンディションは良好だ。

 個人として充実の日々だが「チームとして下位に沈んでいるので、納得はいっていない」と表情を引き締めたイヌワシ軍団の新たな守護神。「まずは安心感を持ってもらえるような選手になりたい。チームが勝つことが一番なので、巻き返したい」と力を込めた。(デイリースポーツ・滋野航太)