【オートレース】現役最強の雨巧者・加賀谷建明「特に地元の雨が一番好きですね」~川口G1キューポラ杯

AI要約

加賀谷建明は雨の達人として知られるレーサーであり、雨の練習量とタイヤの用意によってその力を発揮している。

加賀谷は雨での自信が非常に高く、相手が雨であれば最強のパフォーマンスを見せることができる。

今シリーズも雨が続く予報であり、加賀谷が最高のパフォーマンスを発揮することが期待されている。

【オートレース】現役最強の雨巧者・加賀谷建明「特に地元の雨が一番好きですね」~川口G1キューポラ杯

◇川口オートG1ナイター第48回キューポラ杯(初日・11日)

 雨の達人、レインマスターは全国に幾人か存在する。でも、この男だけはちょっと別格過ぎる。およそ次元が違い過ぎる。現役最強の雨巧者、加賀谷建明ここにあり。

 コースが湿ったら、この男に展開は関係ない。例え、最後方から発進しても、アウトコースを爆走し、インコースもしなやかに疾走する。まさに力ずくに、ねじ伏せるようにライバルたちを問答無用に飲み込んでいく。「でも、デビューして最初の年間はま~ったく雨は乗れなかったんですよね。でも、やっぱり雨って大事じゃないですか。全然乗れないと、肝心なところで降って来たら、勝ち上がりにも影響しちゃいますし、もしも、雨を乗れるようになったら、逆に大きなチャンスになる。ああ~、雨が乗れたらいいよなあ~なんて思って、それから練習し始めたら、だんだんと行けるようになったんです」

 加賀谷がうれしそうな表情を浮かべて、こんなエピソードを聞かせてくれた。「7月1日の地元戦は雨だったんですが、自分は5Rに出走して勝つことができました。その日のレースが全部終わった後に、関係者の方が『11Rよりも売り上げ金が多かったよ』と教えてくれたんです。5Rなのに11Rより売れるなんてすごくないですか!? ああ、ファンが期待してくれてたくさん買ってくれたんだなあとマジでうれしくなっちゃいましたよ!」

 ファンもライバルもみなが知っている。雨でコースがコーティングされたら良走路を走る青山周平、鈴木圭一郎と同等以上の決定的なパワー差を相手に見せつけることを。そう、雨が降れば、加賀谷は”アオヤマケーイチロー“というモンスターレーサーに変身するのである。「アオヤマケーイチロー!? はははっ、いいですねえ、それ(笑い)。うれしいなあ」

 多くの者から、加賀谷は「天才」と呼ばれる。日々の地道な努力と鍛錬を重ねて実力を高めていくというよりは、持って生まれた豊かな素質、図抜けたセンスの恩恵を浴して、これまでのレーサー人生を過ごしてきた。

 雨の攻略もやはり天性の資質によって可能にしたのか。でも、それは違うという。ある日、岩見貴史が感心し切った表情でこううめいていた。「もうね、加賀谷さんの雨の練習量ってハンパじゃないんですよね。マジですごい。何度も何度もコースに出て練習しているんです。ああ、そりゃあ、雨で無敵なわけだ! と思えるほど練習しまくっているんですよね。あれはすごいです」

 そのことを加賀谷に伝えると、笑顔で何度も首を縦に振っていた。「はい、自分はマジで雨の練習には出ていきます。練習時間の間、ずっとコースにいるんじゃないですかね。今、雨をここまで乗れるようになった一番の理由はタイヤの用意なんです。何回もコースに行って、タイヤの当たり付けをして、できるだけいい状態のタイヤに仕上げていくんです。そうすれば結果も付いてきてくれるんです」

 もちろん、加賀谷は雨のみに特化した選手ではない。3日の川口開催でVを決めたように良走路でも爆裂スピードを発揮できるオールラウンダーである。でも、それでも、やっぱり雨での信頼度は果てしない。「まあ良でも行けるんですが、それでもやっぱり降ってくれると自信が全然違います。もしも、晴れで周平や圭一郎と同じ番組だったら、ちょっと厳しいかも…と思ってしまいそうですが、これが濡れていたら、よ~し! いい勝負になるぞ! と気持ちが上がってきますからね。それぐらい今は雨に自信を持っています!」

 今シリーズは節を通して、連日に渡って低くない降水確率が予報されている。「雨、いいっすねえ~(うれしそうに)。特に地元の雨が一番好きですね。伊勢崎もすごいタイムが出ているので、ぜひ乗ってみたいな。しいて言えば、浜松は外を回るのが大変なので、あの金子大輔あたりに気持ち良く内を走られたら厳しいかもしれません。でも、それでも相手が中で重なり合ったりしていたら、そこはもう外からブ~ン!です(笑い)」

 もしも、15日の優勝戦が雨になって、青山、圭一郎、そして加賀谷がベスト8に生き残ってVを競ったら…。人気も着順も両方とも加賀谷が奪う確率はかなり高い。当日の降水確率と同じぐらいに、高い。(淡路 哲雄)