「公立意識」は負け犬根性の象徴…なぜ“東海大相模OBの41歳”公立校監督は本気で甲子園を目指すか「変に謙遜する必要もない」

AI要約

横浜清陵と横浜の監督が15年の付き合いで決勝戦を見守る。

野原監督は1試合ずつ成長を目指し、選手と共に頂点を目指す姿勢。

横浜スタジアムでの体験を通じて、日本一を目指す強豪校の熱を感じる。

「公立意識」は負け犬根性の象徴…なぜ“東海大相模OBの41歳”公立校監督は本気で甲子園を目指すか「変に謙遜する必要もない」

 この夏も始まる甲子園への道。日本列島の中で最も激戦区と言われる神奈川県の各校監督はどのようなことを考え、球児と向き合っているのか。『高校野球激戦区 神奈川から頂点狙う男たち』(カンゼン)から一部転載で横浜・村田浩明監督(37)と横浜清陵の野原慎太郎監督(41)の稿からご紹介します(全3回の第3回/第1回、第2回も配信中)

 2023年夏の神奈川大会決勝、横浜清陵の野原慎太郎監督は、横浜スタジアムの外野席から慶應義塾対横浜の激闘を見ていた。

 横浜の村田浩明監督とは15年近い付き合いがあり、村田監督が白山の監督を務めていたときは、1年に何度も練習試合を組んでいた。横浜から監督のオファーがあったときには、相談にも乗っていた仲だ。

「決勝の舞台で戦いたいと思いながら、試合を見ていました。ただ、決勝までの距離はだいぶ感じました。頭の中で、うちの選手を打席に立たせたり、投げさせたりしたのですが……。慶應も横浜も強かったですね」

――心が折れなかったですか? 

「今はいきなり先を見ないで、自分たちのチームを成長させていくことを第一に考えています。まずはそこが大事。それに、どんな強豪でも1試合ずつ分析していけば、戦い方が見えてくることもある。ひとつひとつです」

 選手たちは、横浜スタジアムの球場補助員として大会運営に関わっていたため、グラウンドレベルで、本気で日本一を目指す強豪校の熱を感じることができた。

 野原監督は東海大相模でセンバツ優勝を経験したあと、横浜国大では授業の面白さに惹かれたことをきっかけに家庭科の教員免許を取得し、硬式野球部でもプレー。横浜国大の大学院を経て、2007年から県立高校の教員に就き、岸根、大師を経て、横浜清陵が3校目となる。

 大師では2015年夏に接戦を4試合連続で勝ち切り、ベスト16進出。日大藤沢に2対3の逆転負けを喫したが、山本秀明監督は「野原先生が作るチームは面倒くさい。門馬(敬治)さんのDNAが流れているから」と、独特の表現でその指導力を認める。2016年春の3回戦で横浜創学館を破り、夏の第三シードを獲得すると、2017年夏には桐蔭学園を1点差で下すなど、ベスト16入りを果たした。