夏の高校野球出場へ選手10人そろった!「川辺高」が2年ぶり単独チーム…美術部員らに助っ人懇願

AI要約

第106回全国高校野球選手権鹿児島大会に出場する川辺高のチーム結成過程と目標について報じられている。

助っ人集めやチームメンバーの熱意、選手の取り組みが紹介されており、単独での出場に向けた意気込みが伝わる。

エース選手の特訓やチーム内の仲の良さが強調されており、チームの団結力も紹介されている。

 6日に開幕する第106回全国高校野球選手権鹿児島大会に、鹿児島県南九州市の県立川辺高(生徒数124人)が2年ぶりに単独チームとして出場する。昨夏は他校と連合チームを組んだが、けが人や体調不良者が出て棄権せざるを得なかった。今夏は部員らが助っ人集めに奔走し、選手10人をそろえた。「川辺」の名で6年ぶりの夏の勝利を目指す。(関理一郎)

 6月30日午後、雨上がりの川辺高グラウンドで選手たちがノックを受けていた。野球経験がない助っ人、宇都健太選手(3年)がフライを捕球すると、「ナイスキャッチ!」と仲間からひときわ大きな歓声があがった。

 部員が9人に満たず、2年前の夏の大会を最後に連合チームでの公式戦出場が続いてきた。そのため、4月に入ると、マネジャーの小堀胡桃さん(3年)らが何度も新入生の教室に足を運び、チラシを配って勧誘した。だが、1年生の男子はわずか10人で野球経験者はおらず、入部希望者はいなかった。

 それでも部員らは単独での出場を目指し、助っ人を探した。5月中旬、エースの立石瑛士選手(3年)ら部員4人が、運動神経の良さにほれこんでいた美術部員の竹山銀次選手(2年)に頭を下げて懇願。あまりの熱意にほだされ、竹山選手は助っ人としての参加を決めた。

 3年生の部員6人と2年生の部員1人に中学まで陸上をしていた宇都選手や元部員も加わり、6月からは10人で汗を流す日々だ。蔵明広監督(40)は「単独での出場が決まり、選手の表情が生き生きしている。チームの調子は上向きだ」と話す。

 そんな中、特別な思いで今大会に臨むのが立石選手だ。昨夏の大会前に体調を崩し、代わりとなる特別試合では221球の力投を見せた。今夏に向け、走り込みや筋力トレーニングを強化。部員が少ないチームにとってけがは命取りになるため、けがをしにくい投球フォームへの改造にも取り組んだ。

 チームの長所は「家族のような存在」という仲の良さだ。全学年で男子生徒は43人と少ないため、学年やクラス、部活の分け隔てなく皆が自然と集まる。互いに気心が知れており、野球でも連係プレーに生かされているという。