井上尚弥に滲む怒り アフマダリエフ陣営が王者の“対戦拒否”に苦言「恐れている。イノウエに勝つ唯一のファイターだから」

AI要約

米興行大手『TOP Rank』のボブ・アラム会長が、世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥との指名試合を命じられたムロジョン・アフマダリエフの価値を批判し、アフマダリエフ陣営との論争が巻き起こっている。

アフマダリエフ陣営はアラムの発言に対し怒りを爆発させ、井上に対する反発を口にしている。アフマダリエフのトレーナーはアラムの顧客であるテオフィモ・ロペスとの比較をし、井上に対する不当な扱いを訴えている。

現時点で井上はWBAからの指令を受けず、WBO世界同級2位のテレンス・ジョン・ドヘニーとの試合を目指しているが、アフマダリエフ陣営は井上がM.Jとの試合を避けていると主張。両陣営の対立が注目されている。

井上尚弥に滲む怒り アフマダリエフ陣営が王者の“対戦拒否”に苦言「恐れている。イノウエに勝つ唯一のファイターだから」

「(戦う)可能性はない。アフマダリエフ? それは誰なんだ。誰も彼のことを聞いたことがない。イノウエがウェンブリーで無名な男とやることはない」

 これは米興行大手『TOP Rank』のボブ・アラム会長の言葉だ。

 百戦錬磨の重鎮は、自身の顧客である世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)との指名試合を命じられたムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)の価値を公の場で批判したのだ。

 急転直下で下ったWBAの命令を暗に批判する言葉ではあった。だが、“奔放”とも言うべきアラム氏の言葉にアフマダリエフ陣営は黙っていなかった。先月13日に急転直下で下ったWBAの指示に沿って対戦を求めている彼らは、重鎮のネガティブな発言に怒りを爆発させている。

 現地時間7月2日に米専門メディア『Boxing Scene』の取材に応じたアフマダリエフのトレーナーを務めるジョエル・ディアス氏は、「いいか、ボブ・アラムにM.J(アフマダリエフの愛称)が、無名だと言われ、試合に意味がないとまで言われるまでは何も問題はなかった。順調だったんだ」と主張。そのうえで『TOP Rank』の動静を皮肉り、井上に対する反発を口にした。

「アラムの顧客であるテオフィモ・ロペス(米国/WBOスーパーライト級王者)が最近対戦した相手を見てみろ。そいつは私の人生で聞いたこともない男(スティーブ・クラゲット=カナダ/WBO同級8位)だった。ただ、私は彼らがそういう振る舞いをするワケを知っている。なぜなら、彼らは恐れているんだ。イノウエに勝つ唯一のファイターがM.Jだと感じているからね」

 現時点で井上は、WBAからの“指令”を受けず、かねてから交渉を行ってきたWBO世界同級2位のテレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド)との試合を実施する意向だ。これにより王座剝奪の可能性も浮上している。

 そうした絶対王者の姿勢にもディアス氏は苛立ちを募らせる。

「今、彼ら(井上)はM.Jと戦う気がないようだ。彼らはタイトルを保持したまま、ドヘニーとのイージーな試合を戦うつもりだと聞いている。実力は分かり切っている。M.Jはダニエル・ローマンに勝った。そして、そのローマンはドヘニーに勝っている。

 M.Jは誰であろうと相手を痛めつける。彼はパンチが強く、優れた技術もある。アラムたちはイノウエがM.Jと戦うのが厳しいと分かっているから、対戦を避けるように逆方向に進むことを決めたんだ」

 果たして、こうした“挑発”を受け、井上の胸中やいかに。両陣営の動静に引き続き注目だ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]