AIカメラで無人野球中継 四国の2球場、高校は秋季大会から

AI要約

AIが自動で撮影した野球中継を四国の阿南市と坂出市の球場で導入。

地域活性化を目指して高校野球や社会人野球の試合を中継。

AIカメラが内野全体と打者を撮影し、選手の動きを学習させた。

カメラの追従に課題あり、試合は録画されアーカイブとして残る。

AI中継は無料で視聴可能で、秋季大会からは県高校野球連盟も導入予定。

市ではアーカイブ映像をDVD販売も検討している。

AIカメラで無人野球中継 四国の2球場、高校は秋季大会から

 AI(人工知能)が自動で撮影した野球中継をインターネットやスマートフォンのアプリなどで配信するシステムが、徳島県阿南市と香川県坂出市の球場に四国で初めて導入された。高校野球や社会人野球などの試合を中継する。スポーツの振興による地域活性化につなげる狙いだ。

 導入されたのは「JAアグリあなんスタジアム」(阿南市)と「番の州球場」(坂出市)。スポーツ映像配信事業などを手がける「NTTSportict(NTTスポルティクト)」(大阪市都島区)が提供した。バックネット側とバックスクリーン側に1台ずつ設置したAIカメラで、球場の内野全体と打者に投球するバッテリーを撮影できる。

 「野球のまちおこし」を推進する阿南市は、2024年4月に市が管理・運営する同スタジアムに設置した。設置費用は350万円で、維持管理費は年間150万円。高校野球や少年野球などの計18試合で、選手の動きをAIに学習させた。

 6月8日には、高校野球の強豪校・大阪桐蔭(大阪府大東市)を招いた試合を、市のホームページ「野球のまち阿南AIライブ」でライブ中継した。選手の動きをAIが検知して自動で映像をズームアップさせたり、場面を切り替えたりできるように設定。画面右下にはイニングのスコアや投球の球速が自動で表示された。

 課題も浮かび上がった。投球や送球はほぼ全て映せるが、打者が外野にフライを打った瞬間、飛んだボールをカメラが追いかけられず、画面を見ていても本塁打かファールフライか、捕球か安打かをすぐに判別できなかった。

 招待試合を主催した徳島県高校野球連盟の森河丈志理事長は「中継映像は録画され、手動で少し巻き戻せるので、確認したいプレーをもう一度見ることができる。テレビ中継がない高校野球の試合でも、AIライブで見ることが可能だ」と述べて期待を寄せた。県高野連は9月から始まる秋季大会をAI中継する予定だ。

 ライブ配信された中継は当面アーカイブとして残るため、誰でも無料で視聴できる。市の「野球のまち阿南AIライブ」では、招待試合4試合の閲覧が可能。NTTスポルティクトによると、再生回数で約4万2000回だった。同市野球のまち推進課は、これまでテレビ放送のなかった学童野球や還暦野球などで、主催者側から要望があれば、録画した試合の動画をDVDで販売することも検討している。

 番の州球場では5月にシステムを導入した。中継は坂出市のケーブルテレビ局「KBN」のテレビ放送やアプリなどで配信されるという。【山本芳博】