JpnI格上げの「さきたま杯」 レース名がさ"い"たま杯でないのはどうして?

AI要約

さきたま杯は浦和競馬場で開催されるJpnI競走で、春のダート短距離王者を決定する重要なレースである。

競走名の由来は埼玉県北部の行田市にある前玉神社に起源があり、さきたまという言葉は幸魂を意味し、さらに埼玉として転じた説もある。

前玉神社周辺はさきたま古墳群として知られ、埼玉県のルーツを垣間見ることができる観光地である。

JpnI格上げの「さきたま杯」 レース名がさ

 浦和競馬場で6月19日(水)にさきたま杯(3歳上・JpnI・ダ1400m)が開催される。持ち回りのJBC競走を除けば、同所で初となるJpnI競走。秋のJBCスプリントと対になる形で、春のダート短距離王者を決する一戦となる。ところで、この「さきたま杯」という競走名。埼玉県で行われるレースだが、「さ"い"たま杯」とならなかったのはなぜか。その由来を探ってみると、県北部の行田市に答えはあった。

 答えのカギを握る行田は、「日本一暑いまち」として知られ、2019年のラグビーワールドカップも開催された熊谷市の東隣に位置する県東部の都市。日本屈指の足袋生産地で、17年にTBSで放送されたドラマ『陸王』や、小説・映画『のぼうの城』の舞台にもなった。

 そんな街の中心部から、南東方向に車を走らせること約5分でとある神社にたどり着く。「前玉神社」。この神社こそが浦和競馬が誇るビッグレース名の由来につながるのだ。同神社は400年代後半~500年代前半から存在する由緒ある古社で、幸魂(さきたま、さきみたま=人の身を守ってくれる神の働き)神社とも言う。そこから前玉、さらには埼玉と転じた説が有力で、県名発祥の地でもある。

 前玉神社の周辺は「さきたま古墳群」として観光地になっており、県立さきたま史跡の博物館もある。周囲の地名も埼玉と書いて「さきたま」と読み、埼玉県のルーツを知ることのできる地域といえよう。なお、さきたま杯当日には行田市に本店を構える「十万石まんじゅう」の配布が行われるほか、ゼリーフライといったご当地グルメも登場。さきたま杯の名前には、埼玉県誕生の歴史が隠されていた。