物足りないパリ世代の突き上げ。東京世代への依存が続けば、いつか森保Jは下降線を辿るかもしれない...

AI要約

日本代表の6月シリーズでは、攻撃的3バックを採用し、ミャンマー戦とシリア戦で圧勝した。若手選手の活躍も目立ち、特にパリ五輪世代の台頭が期待されている。

ただ、パリ世代の選手がまだ主力選手として確固たる地位を築けていない現状もあり、彼らが次の世代で主役になるためにはさらなる成長が必要である。

過去の代表の例を振り返ると、特定の年齢層に偏ることがチームにとってリスクとなる場合がある。将来的な戦力を拡充し、活性化を図するためにも、パリ世代以下の選手の台頭が望まれる。

物足りないパリ世代の突き上げ。東京世代への依存が続けば、いつか森保Jは下降線を辿るかもしれない...

 日本代表の6月シリーズが終わり、ご存じの通り、森保ジャパンは6日のミャンマー戦と11日のシリア戦で、それぞれ5-0で圧勝した。指揮官は攻撃的3バックのテストに踏み切り、堂安律(フライブルク)や中村敬斗(スタッド・ドゥ・ランス)らアタッカーのウイングバック起用が奏功。上田綺世(フェイエノールト)や小川航基(NEC)らFW陣もゴールを挙げるなど、収穫の多い活動となった。

 ただ、気になるのは、パリ五輪世代の鈴木唯人(ブレンビー)がシリア戦でベンチ外になったこと。長友佑都(FC東京)、前田大然(セルティック)とともにスタンドから久保建英(レアル・ソシエダ)らの戦いを見守ることになったが、主力として躍動する同学年アタッカーの一挙手一投足を目の当たりにして、悔しさを覚えたことだろう。

 このタイミングで鈴木唯がA代表入りし、ミャンマー戦で途中出場から初キャップを飾ったことで、パリ世代の突き上げ加速に期待が高まった。が、堂安や南野拓実(モナコ)、鎌田大地(ラツィオ)ら年長者の壁はまだまだ高いようだ。

 6月シリーズで招集された26人を見ると、東京五輪世代が17人と圧倒的多数を占めていた。森保監督が自ら強化にあたった面々で東京五輪、2022年カタール・ワールドカップを戦ってきたのだから、彼らが次の26年北中米ワールドカップでも主軸になるのはある意味、当然の流れではある。

 

 しかしながら、特定の年齢層に偏ってしまうと、チームは活性化されないし、若返りも進まなくなってしまう。パリ世代以下のタレントがもっと出てきてほしいのだが、現状で計算できる戦力になっているのは久保1人。そこは物足りないと言うしかない。

 過去の代表を振り返っても、2002年日韓W杯で活躍した小野伸二、稲本潤一(南葛SC)らが円熟期を迎えるはずだった2006年ドイツW杯では、顕著なメンバー固定が災いし、惨敗を喫している。2010年南アフリカW杯で台頭した本田圭佑、長友らに依存した2014年ブラジルW杯でも結果が出なかった。

 特に後者はアルベルト・ザッケローニ監督が2013年コンフェデレーションズカップで世界の壁にぶつかった後、柿谷曜一朗(徳島)や大迫勇也(神戸)ら若手を抜擢。融合を図ったが、その時間が短すぎたという指摘もあった。

 だからこそ、次の最終予選では、パリ世代以下の台頭が一気に進み、戦力として計算できる人材が増えていく状況が望ましいのだ。