「静止芸」でバズったドアラ、毒舌フリップ芸のつば九郎…単なる盛り上げ役を超えて30周年

AI要約

プロ野球球団のマスコットの歴史と重要性について

各球団のマスコットについての起源や活動について

中日のドアラを中心にしたマスコットの人気と活躍について

 プロ野球の各球団にはそれぞれ、ユニークなマスコットが存在している。今や単なる盛り上げ役の枠を超え、チームとファンをつなぐ架け橋となっているようだ。(百瀬翔一郎、増田剛士)

 5月26日、試合終了後のバンテリンドームナゴヤには多くの観客が残っていた。お目当ては、中日の「ドアラ」とヤクルトの「つば九郎」が出演するイベントだ。1994年のデビューから30周年を迎え、記念の筆談トークは大盛況となった。

 野球に関する意匠に詳しいコラムニスト綱島理友さんによると、実は国内第1号の着ぐるみマスコットはよく分かっていない。74年に撮影された太平洋クラブ・ライオンズ(現西武)の写真にライオンの着ぐるみが写っているというが、正確な記録がないため「同時期に他チームにもいた可能性がある」と話す。

 日本では、70年代から90年代前半にかけて各球団がマスコットをそろえるようになった。綱島さんによると、熱狂的なファンだけでなく、幅広い層に関心を持ってもらおうとする動きが球団で活発化。「グラウンド上の選手と違って実際にファンとふれ合えるマスコットには、チームとファンをつなぐコミュニケーションツールとしての役割が期待された」と指摘する。

 中日のドアラは、84年に名古屋市の動物園に来園して人気になったコアラが由来だ。本塁打を打った選手に贈られるコアラのぬいぐるみがドラゴンズと掛け合わせてドアラと呼ばれており、94年にデビューした着ぐるみマスコットが名前を受け継いだ。

 2005年に始まった交流戦で、パ・リーグの本拠地にも訪問を始めたことで認知度がアップ。07年、西武戦の試合前イベントで棒立ちする様子が動画サイトに投稿されて「静止芸」と話題になった。

 球団によると、本や写真集の出版、CM出演といった依頼が相次ぐようになり、今では球団公式グッズの約半数がドアラ関連だ。SNSやブログに投稿し、球団に自分で企画を持ち込むこともある。現在体調不良で出演を見合わせているため、ブログには「元気な姿で球場に戻ってきてくれるのを待っています」などと、ファンから温かいコメントが寄せられている。