【東京V】染野唯月「点を取って評価されるポジション」飄々と軽やかにゴール決めるスナイパー

AI要約

東京ヴェルディFW染野唯月(22)がチームに勢いをもたらしている。技術とアイデアが光り、中盤でゲームメークを担当し、攻守に貢献している。

染野は最近の試合で2ゴールを決め、チームの勝利に貢献している。そのプレーぶりはエレガントで、周囲を冷静にかつ賢明にコントロールしている。

五輪代表には意識せず、現在のチームでのプレーに集中している染野。チームの勝利への貢献に注力し、成長を続けている。

 東京ヴェルディFW染野唯月(22)が持ち前のセンスを発揮し、チームに勢いをもたらしている。

 国際Aマッチデーウイークにあって、YBCルヴァンカップで敗退しているチームは公式戦がない。そんな中、J1リーグ再開に向けてチームは着々と準備を進めている。

 6日、東京・稲城市のグラウンドでの公開トレーニング。染野は周囲を見渡す視野の広さを見せながら、いつもながら飄々(ひょうひょう)と軽やかにプレーしていた。力みがない。性格的なものもプレーに加味されているのだろう。笑顔も見せながら、楽しげにボールを追い、事もなげに鋭いシュートを蹴り込んでいく。

 2日の北海道コンサドーレ札幌戦では2ゴールを挙げ、5-3の勝利に貢献した。その1点目はスルーパスを受け、相手選手をブロックしながら右足で対角のゴール隅に決めたシュート。2点目は縦パスを受けると、相手を巧みなボールタッチで切り返し、さらに飛び込んでくる選手も冷静に見極め、スナイパーのように左足でゴール左隅へと突き刺した。

 練習後、あのゴール場面については、あらためて「あれは、うまく相手を冷静に見られた。そこは良かったと思います」。相手の動きを読み、手玉に取る姿はエレガントだった。

 4月13日のFC東京との「東京ダービー」ではクロスボールを右足ボレーでたたき込むスーパーゴールも決めている。技術とアイデアが詰まったゴールの美しさは、誰もが認めるところだろう。

 最前線に張り付くタイプでなく、中盤に降りてきてゲームメークをができるのが染野の特徴だろう。中学時代は鹿島のアカデミーでボランチをやっていただけに、周囲を活かすプレーはもともと得意だ。

 札幌戦でも木村勇大を1トップにした後方のシャドーの位置に入り、攻撃を活性化させた。加えて守備に走る場面も多く、まさに労を惜しまないプレーは光っている。

 「いろんなことを監督からも求められていますし、求められることを自分をやるだけ。あとはプラスアルファで点を取って、チームの勝利に貢献できればなと思います」

 パリ・オリンピック(五輪)世代だが、予選を兼ねたU-23アジアカップのメンバーには選出されず、現在実施されている米国遠征にも入っていない。

 札幌戦の試合後に、五輪代表への思いを問われる「意識していない」と、既に気持ちを切り替えている。登録メンバーが少ない上にオーバーエージ枠もある。状況を鑑みれば、メンバー入りが厳しいことは理解している。それでも近況で言えば、選ばれておかしくない選手の1人と思わせる内容だ。

 「点を取って評価されるポジションなので、点を取るかどうかを見られている。(五輪世代の)同年代というのは関係なく、もっとアピールしていきたい」

 チームはここ2試合に勝利し、リーグ11位に浮上。自身もゴール数を6(11位タイ)に伸ばしている。この中断期間を活用して、オールラウンダーのエースはさらなる成長を遂げそうな気配だ。【佐藤隆志】