リーグトップのチーム打率.304に、防御率1.57 「完全優勝」つかんだ早稲田大学が誇る、強力センターライン

AI要約

早稲田大学が東京六大学の春季リーグ戦で完全優勝し、ディフェンス力が重要な要素となった。

打線の活躍もありチーム打率はトップだったが、小宮山監督はディフェンス力を強調。

エースの伊藤樹や他の主力選手が守備面で大きく貢献し、チームは成功を収めた。

リーグトップのチーム打率.304に、防御率1.57 「完全優勝」つかんだ早稲田大学が誇る、強力センターライン

東京六大学の春季リーグ戦は早稲田大学が勝ち点5を挙げる「完全優勝」で、リーグ単独最多となる47度目の覇者になった。リーグ優勝の原動力になったのはディフェンス力。守備で「球際」を拡大するための猛練習が、勝利への執念を育んだ。

早稲田大学が優勝まであと1勝に迫った早慶2回戦。雨中の激闘になった中、早大打線が19安打12得点と爆発した。初の首位打者に輝いた尾瀬雄大(3年、帝京)と、小澤周平(3年、健大高崎)はともに、本塁打を含む4安打3打点をマークした。

シーズンを通しても、チーム打率はリーグトップの3割4厘。早大はよく打った。打率トップテンには尾瀬をはじめ、主将・印出太一(4年、中京大中京)、山縣秀(4年、早大学院)、そして小澤の4人が名を連ねた。

だが、2019年からチームを率いる小宮山悟監督はこう言った。

「ディフェンス力で、守りで勝ち取った優勝だと思います」

早大の失点はリーグ最少の19で、失策数もリーグ最少タイの4。チーム防御率はリーグ1位の1.57だった。投手を中心とする守りで作ったリズムが、打線のつながりを生んだのだろう。

ディフェンス面で中心になったのが、エースの伊藤樹(3年、仙台育英)、捕手の印出、遊撃の山縣、中堅の尾瀬の4人だ。いずれも春のベストナインに選出された4人(印出は2回目、他の3人は初)が形成する「センターライン」は強力だった。

今春から早大のエース番号「11」を付けた伊藤樹は、重みのある番号を背負うにふさわしい存在に成長した。ターニングポイントになったのが、明治大学3回戦だ。延長11回、147球を投げ抜いて、リーグ戦初完封。21年秋以来となる明大戦での勝ち点奪取に貢献した。

試合後の会見で小宮山監督は「130球を超えてたら交代させるつもりだった」と明かしたが、伊藤樹の「延長12回に突入しても投げるつもりでした」という言葉ににんまり。「背番号がそういう意識にさせたのかな」と、明大戦で初完封を遂げたエースをねぎらった。

小宮山監督はここ2年間、壁になっていた明大戦で勝ち点を取ることを大きな目標としていた。「この試合(明大3回戦)に勝つために(春の練習を)やってきた」。重要視していた試合でエースが躍動。早大は3カード目にして、一気に上昇気流に乗った。

リーグ最多タイの3勝を挙げた伊藤樹は今春、持ち味のコントロールが進化。印出の配球通りに投げることを基本にしながらも、時にマウンドから打者の雰囲気を察知し、直感で自分が意図するコースに投げ込んだ。聞けば、高校時代から「打者を見ながら投げていた」という。それができるのは「ここなら」というところに投げ切る自信があるからだ。