ライバルは仲間でもある…全米女子OP制覇の笹生優花をともに祝った渋野日向子らの姿にそんな友情を垣間見た【武川玲子コラム】

AI要約

笹生優花が全米女子オープン選手権で2勝目を飾り、渋野日向子と共に祝福される

笹生と渋野は仲良しで、それぞれのサポートシステムについて紹介される

笹生の勝利には、他の選手たちも喜びを示す友情が見え隠れする

ライバルは仲間でもある…全米女子OP制覇の笹生優花をともに祝った渋野日向子らの姿にそんな友情を垣間見た【武川玲子コラム】

◇米ツアー見聞録

 女子メジャー第2戦、全米女子オープン選手権(2日終了)で笹生優花が大会2勝目を飾った。先に通算4アンダーでホールアウトし、スコアリングテントでアテストを終えてじっとその瞬間を待っていた笹生は、優勝が決まると後続の渋野日向子とともに勝利を祝った。笹生は「渋野さんと友達で良かった」と興奮、単独2位に入った渋野も「こっちが友達でありがとう、って」と答えたという。米LPGAツアーを主戦場にする笹生と渋野は日本勢の中でも大の仲良しだ。

 笹生は2021年シーズン半ばから、渋野は22年から米国を主戦場にする。笹生は父、正和さんと二人三脚でツアー転戦。専属トレーナーも加わり食事は父が担当、キッチン付きの宿を借りることがほとんどで父が笹生の健康を考えて料理を作る日々。一方の渋野も、キャディーも務める田谷美香子マネジャーと二人三脚。こちらも田谷さんが日々の食事を担当、笹生と渋野は時に料理を分け合ったりすることもある。

 25歳の渋野にとって22歳の笹生は「すごい妹感がある」と言いながらも、英語も堪能な笹生を「しっかりしているから、頼ってしまうところもある」と笑う。3打差の2位で終えた渋野だが、実際には終盤に惜しいパットが決まらず「届かない優勝ではなかった」と悔しさもにじませた。が、その重圧をはねのけた笹生のプレーを後続から見守ると「優花が強い! 強かった」と勝利をたたえた。

 もう一人、笹生の優勝会見を見守っていたのがミンジ・リー(オーストラリア)だった。リーは首位タイで迎えた最終日、1番でバーディーを奪うとそのまま独走するように見えたが難ホールの12番パー3でクリークに落としてダブルボギーにするなど「自滅してしまった」

 そのリーも実は笹生と大の仲良し。同じテキサス州ダラスを拠点とし、姉妹のように笹生と過ごしている。自身が負けた悔しさと別に「優花が勝ってうれしい」とほほ笑んでいた。毎週ライバルとして戦う選手は仲間でもある。そんな友情が垣間見えた笹生の勝利だった。 (全米ゴルフ記者協会会員)