「えっ!オコエ瑠偉にセーフティースクイズ?」阿部慎之助監督の采配に異論が…巨人首位でも得点力不足の理由 思い出すのは長嶋監督時代の落合博満?

AI要約

5月28日の巨人対ソフトバンク戦での阿部慎之助監督の采配が批判を浴びる。

セーフティースクイズのサインを出し、逆転を狙うもチームの打線状況を考慮した勝負手だった。

試合後のコメントから、阿部監督の狙いが明らかになる。

「えっ!オコエ瑠偉にセーフティースクイズ?」阿部慎之助監督の采配に異論が…巨人首位でも得点力不足の理由 思い出すのは長嶋監督時代の落合博満?

 賛否両論が渦巻いた……いや、批判的な論調が圧倒的と言った方がいいかもしれない。

 5月28日の巨人対ソフトバンク戦での巨人・阿部慎之助監督の采配である。

 この日の試合は巨人・山崎伊織、ソフトバンク・有原航平両先発の投げ合いで緊迫した投手戦が続いていた。均衡を破ったのはソフトバンク。5回に6番・栗原陵矢内野手がソロ本塁打を放って1点を先行。そして問題の場面は1点を追う6回の巨人の攻撃だった。

 先頭の山崎の代打・立岡宗一郎外野手が四球で出塁。1番の丸佳浩外野手のときに二盗を決め、丸は二塁への内野安打で無死一、三塁とチャンスが広がった。

 ここで打席に立ったのはこの日、2番に抜擢されたオコエ瑠偉外野手である。初球にベンチが動いた。いきなりオコエがバントの構えから、バットを引いて判定はボール。阿部監督が出したサインはセーフティースクイズだったのである。

 スタンドにどよめきが湧き起こるが、お構いなく2球目のバントがファウルとなった後の3球目だ。今度はバントしたボールが捕手前で大きく弾む。三塁走者の立岡はスタートを切れず、結果的に一塁走者を二塁へと進める犠打となった。1死二、三塁。それでもまだ一打逆転のチャンスは残った。しかし3番・吉川尚輝内野手の二ゴロに中途半端なスタートの立岡が本塁前で止まって2死。続く岡本和真内野手の四球で満塁としたが、坂本勇人内野手が右飛に倒れてチャンスは潰れ、7回に追加点を奪われた巨人は、交流戦初戦を完封負けであっさり落とした。

 この結果、セーフティースクイズのサインに異論が噴出したのである。

 1点差の無死一、三塁。ソフトバンクの内野陣は二遊間が中間守備のゲッツー態勢で、同点は仕方ないというシフトだった。セオリーなら併殺覚悟でここは強打。内野ゴロで併殺となっても最悪、同点は確保できる。あわよくば安打となれば一気にチャンスは広がるはずだ。だからこそこの場面でバントを指示した阿部監督の選択が、非常に消極的に見えて批判を浴びることになったわけである。

 ただ、この選択を考えるとき、頭に入れなければならないのは現在の巨人打線が置かれている厳しい状況だった。この日も結局、3安打の完封負け。今季は長打も少なく、安打もつながらず1点を取るのに四苦八苦する試合が続いている。交流戦開幕前までのチーム打率2割2分9厘、チーム得点113点はいずれもリーグ最下位だ。投手陣の踏ん張りで何とか貯金2つの3位で交流戦に突入できたが、極端な貧打は目を覆うばかりなのである。

 そういう打線の状況下でおそらく阿部監督が一番、恐れたのが内野ゴロ併殺の間に同点に追いついたはいいが、2死走者なしという状況になってしまうことだっただろう。

 ならばこの数少ないチャンスで一気に逆転を狙う――。

「ノーアウトでしたし、(三塁走者の生還は)打球判断になって、ベンチの都合のいいサインになってしまうけど……。1死二、三塁で逆転の形は作れた。そこで打てなかった」

 試合後の阿部監督のコメントが、その狙いを裏付ける。セーフティースクイズのサインは「とりあえず同点」ではなく、一気に逆転のシチュエーションを作り出すための攻撃的采配だった。いまのチーム状況、打線の力を考慮し、ある意味、批判を恐れずに阿部監督が打った勝負手だったのである。