【秋山幸二の視点】ソフトバンク近藤健介 技のサヨナラ2ランと完璧な先制ソロ 柳田不在のチームに安定感が出るまで2勝1敗ペース

AI要約

ソフトバンクが広島に3連勝し、延長戦での勝利が特に大きかった。近藤が素晴らしい働きを見せ、島内投手からのホームランが印象的だった。

近藤の技術や自信、そして打線の課題、山川や栗原などの存在感、今後の期待について考察する。

投手の踏ん張りと3連勝に続き、柳田不在でも安定感を得るまでチームが乗り切りたい。

【秋山幸二の視点】ソフトバンク近藤健介 技のサヨナラ2ランと完璧な先制ソロ 柳田不在のチームに安定感が出るまで2勝1敗ペース

 ◆プロ野球セ・パ交流戦 ソフトバンク5×―3広島(2日、みずほペイペイドーム)

 セ・リーグで首位に立っていた広島に3連勝。9回2死から田中の3ランで追いつかれ、嫌な雰囲気の中で延長戦を制したこの勝ちは特に大きい。柳田がカード初戦で右脚を痛めて長期離脱となる中、ともに中軸を担ってきた近藤が素晴らしい仕事をしてくれた。

 延長10回の打席は一発を狙っていたと思う。島内に全て150キロを超す真っすぐで追い込まれた後、4球目の外角のチェンジアップを芯で拾った。落ちる変化球は想定していただろうが、体勢を多少崩されながらでもしっかりコンタクトできる技術が、あのサヨナラ2ランには詰まっていた。

 2回の先制ソロは完璧だった。こちらは2―2からインサイド寄りの甘めの真っすぐを、腰を回して押し込んだ。アドゥワは手足が長くて球持ちがよく、打者が差し込まれている印象だったが、失投と言えば失投の1球を自分のスイングで仕留めたのはさすがだ。

 今季も3割を大きく超える打率をはじめ、各部門で高いレベルの数字を残している。それだけの技術は当然あるし、集中力やデータを生かす力もある。これまでとの違いと言えば、昨季初の本塁打王を取った自信だろう。これが彼にとって、大きなプラスアルファになっているはずだ。

 開幕から3番に座ってきた柳田の離脱は、チームの大きな痛手だ。今後の課題は「どう得点力を上げるか」になるだろう。そのためには打線の軸として、山川と近藤が引っ張らないといけない。山川がやや調子を落としているだけに、やはり近藤の存在は大きい。

 柳田に代わる3番に入った栗原は状態が上がってきた。中村晃もスタメン起用が増えるだろう。経験と実績がある彼らにも大いに期待したい。今回の広島戦は投手が踏ん張って3連勝できたが、打線の並びが落ち着き、チームに柳田不在でも勝てる安定感が出てくるまで、2勝1敗のペースで乗り切っていきたい。(西日本スポーツ評論家)