父はライバル強豪校のコーチ 須磨翔風の技巧派左腕・上里田憲伸が近畿大会で登板

AI要約

高校野球春季近畿大会で、智弁和歌山が須磨翔風を12-0で破る

神戸国際大付のコーチを父に持つ左腕投手・上里田憲伸が活躍

須磨翔風は体作りと努力で成長し、変化球も充実している

父はライバル強豪校のコーチ 須磨翔風の技巧派左腕・上里田憲伸が近畿大会で登板

<高校野球春季近畿大会:智弁和歌山12-0須磨翔風>◇1日◇準決勝◇明石トーカロ球場

 県内強豪校・神戸国際大付のコーチを父にもつ左腕の須磨翔風・上里田(あがりた)憲伸投手(2年)が、3番手で登板した。

 4点ビハインドの5回2死三塁にマウンドへ向かうと、相手の1番打者を三邪飛に打ち取り、火消しに成功。6回無死二、三塁に犠飛で1点を失ったが、8回までの3回1/3を投げて1失点にまとめた。「力で負けるのはわかっているので、その中でどう工夫して相手を打ち取るか頑張りました」。

 父は、神戸国際大付のコーチの上里田哲英さん(51)。早産で誕生した憲伸投手は、幼少期から小柄だったものの、投げることは得意だった。ただ、自身の実力を見つめた上で「神戸国際ではなく、須磨翔風を」と門をくぐった。

 入学当初は45キロと軽量ながらもチームメートの存在に感化され、体作りに奮起した。食事のほか、自らの意志で練習後にジムへ足を運ぶ努力で変貌を遂げた。

 半年前は最速109キロだった左腕は、今では最速は119キロに更新。体重の目標は70キロと話すが、身長170センチ、56キロと入学当初から10キロ以上の増量に成功してみせた。「(体格は)みんなに追いつかないから」と毎日食卓では白飯を平らげた後に、麺をすする。

 2年生ながら変化球を多彩に操る技巧派でもある。自身は細身でも大舞台で活躍する、ソフトバンクの大津亮介やドジャース山本由伸に憧れを抱く。

 上里田は、今春の兵庫大会決勝でも終盤にマウンドへ上がった。「投げさせてもらえて、感謝しかないです。自分の課題も見つかったので、来年には神戸国際を自分で抑えられるように。球が遅くても、通用できるようになりたい」。両校は激戦の兵庫大会で優勝候補に挙がる。左腕がさらに腕を磨いてライバル校で指導する父を驚かせる。【中島麗】