発災翌日には現地入り―能登半島地震で全日病AMATが果たした役割と見えた課題

AI要約

元日の北陸地方を震度7の地震が襲った能登半島地震。被災地では医療支援が不足している中、全日本病院協会が100人を超える医療支援チームを派遣した。

地震発生後、病院からの救援チーム出動要請に多くの医療者が即応し、迅速な対応が感動を呼ぶ。AMATは民間病院のボランティアで構成され、被災地支援に尽力する。

震災の詳細や被害状況確認のために連携し、全日病が災害対策本部を設置。組織一丸となって被災地支援に取り組んでいる。

発災翌日には現地入り―能登半島地震で全日病AMATが果たした役割と見えた課題

元日の北陸地方を最大震度7の地震が襲った能登半島地震。大地震に見舞われた被災地ではさまざまなものが不足する。「医療の継続体制」もその1つだ。全日本病院協会(以下、全日病)は、医療支援のため100人を超える「AMAT(All Japan Hospital Medical Assistance Team:全日本病院医療支援班)」隊員を現地に派遣した。全日病で災害医療を担う救急・防災委員会の委員長、加納繁照先生(加納総合病院理事長)に、能登半島地震でAMATが果たした役割、派遣で見えた課題などについて聞いた。

「地震発生から5時間後の(2024年1月1日)21時までには被災地に向けて救援チームが出発できる体制が各病院で整っていました」――。人の命を預かる病院とはいえ、正月は医療者、スタッフとも必要最小限の人員で運用している施設も多い。そんなときに起きた震災で「被災地への出動要請に、すぐに受諾可能との反応がいくつもあったことが、驚きであり感動したことでもありました。AMATは国などからの補助があるわけでもなく、純粋に民間病院がボランティアで取り組んでいる状況です。にもかかわらず、たくさんの方がすぐに(出動すると)手を挙げてくれたことは、我々の大きな誇りであると感じています」と加納委員長は胸を張る。

気象庁のまとめによると、今回の震災で最初の大きな地震は1月1日16時6分に石川県珠洲市で最大震度5強を記録。その直後の16時10分、一連の地震活動の中でもっとも大きな揺れとなる最大震度7を石川県輪島市と志賀町で観測した。

最初の大きな地震から5分後の16時11分には、加納委員長が救急・防災委員会のLINEグループに第1報を送信。16時12分には全日病事務局から「情報収集を開始した」との連絡が入った。また、発災から1時間後には猪口雄二会長を本部長、加納委員長と猪口正孝常任理事を中心とする指示命令系統として全日病災害対策本部を設置、会員病院の被害状況確認などにあたった。