しめじは感情をもつ(と、人は感じる) 東大・立命大が実験で証明

AI要約

東京大と立命館大の研究チームが、物体の形状と動きの両方に着目し実験した結果、物体が動きを加えると似ていないものでも感情を持っているように見えるという現象が明らかになった。

形状と動きの両方を変化させることで、ロボットやキャラクターの設計にも応用できる可能性が示唆された。

研究では、人型のイラスト、しめじ、マッチ棒の動きを比較し、しめじが人型よりも感情を持っているように見える結果が得られた。

しめじは感情をもつ(と、人は感じる) 東大・立命大が実験で証明

 X(旧ツイッター)で話題にもなった「添い寝しめじ」(https://x.com/showkitchen_/status/701716543265067008)。人間とたいして似ているわけでもないものが、感情を持っているように見えるには、どんな仕組みが働いているのか?

 東京大と立命館大の研究チームが、物体の形状と動きの両方に着目し実験してみたところ、さほど似ていない物体に動きが加わった場合に、感情を持っていると私たちが感じやすいと、オランダの科学誌に発表した。感情が豊かに見え、共感を得やすいロボットやキャラクターの設計・作製に役立つ可能性があるという。

 ヒトでない対象が感情を持っているように感じる現象は「感情の読み込み」と言われる。この現象を引き起こす要因として、対象物の形状と動きが別々に検討されてきたが、両方とも変化したらどう感じるかはあまり研究されてこなかった。

 研究チームは、手と足を前に伸ばした形にした、人型のイラストとしめじ、マッチ棒の三つの対象で、それぞれで2体が近づく(抱きしめる)場合と、離れる(別れる)場合の動画を「パラパラ漫画」のようにしてつくった。それを大学生・院生31人に見てもらい、「形状としてヒトと似ているか」「感情を持っているように見えるか」の二つの質問について、0~100点での点数をつけてもらった。

 しめじは「添い寝しめじ」を参考に作製。学生に実験の意図がわからないようにするための、形が異なるダミーの動画なども見せた。

 その結果、形状としては見た目の通り、動画でも静止画でも、「人型>しめじ>マッチ棒」の順に、「ヒトと似ている」の得点が高かった。

 ところが、「感情を持っているか」については、静止画では形状と同じ結果だったが、動画にするとしめじが人型を逆転し、「しめじ>人型>マッチ棒」の順となった。とりわけ近づく動画では、しめじは平均63.4点となり、感情を強く読み込まれ、人型(49.8点)やマッチ棒(36.8点)と比べ、統計上明確な差が出た。