長寿の秘訣は「卵子」にあり オスは精子で短命に…大阪大研究チームが魚で実験 おおさかラボ

AI要約

精子と卵子が生き物の寿命に影響する研究結果が明らかになった。精子の欠如でオスの寿命が延び、卵子の欠如でメスの寿命が縮むことが示された。

実験では体内の生殖細胞を取り除いたキリフィッシュのオスとメスの寿命を比較し、生殖細胞の有無が寿命に与える影響を明らかにした。

さらにビタミンDの生成が寿命延長に重要な役割を果たすことが示唆され、老化抑制にも可能性があるとされた。

長寿の秘訣は「卵子」にあり オスは精子で短命に…大阪大研究チームが魚で実験 おおさかラボ

卵子があると生物の寿命が延び、精子は縮める-。こんな研究結果について、大阪大微生物病研究所の石谷太教授らの研究チームが発表した。ヒトを含む多くの動物ではオスよりもメスの方が寿命が長いことが知られる。チームは「今回精子と卵子が生き物の寿命の長さに影響することが初めて明らかになった。ヒトの寿命の違いにも関係しているのではないか」としており、今後健康寿命延伸につながる研究への応用が期待される。

実験はアフリカ原産の淡水魚「ターコイズキリフィッシュ」(体長約4センチ)を使って実施。平均寿命はオスが約120日、メスが約145日と他の魚に比べても短命で知られ、人間と同じように加齢とともに筋肉が痩せたり、色素が薄くなったりする。

実験では、精巣や卵巣を残す一方で、精子や卵子といった生殖細胞を取り除いたオスとメスの稚魚を育てて、通常のキリフィッシュとの寿命を比較。いずれも通常よりも体のサイズが大きくなるとともに、オスは筋肉の再生能力や骨の量が維持されていた上、平均寿命が13%延びた。また、体内では長寿に関係すると注目を集めるビタミンDの生成も活発になっていた。

メスの場合、卵子がないと平均寿命は6・6%短縮した。今回は生まれつき生殖細胞がない場合で実験しており、成長過程での生殖細胞の有無が寿命にもたらす影響は不明。石谷氏は「寿命をコントロールするのが成熟した生殖細胞なのか未分化のものかは分かっておらず、解明は今後の課題だ」と話した。

また、チームは精子がないオスの体内に生成されていたビタミンDが、老化を防止するのではないかという点に着目。通常のキリフィッシュにビタミンDを投与したところ、オスの平均寿命が21%、メスは7%延び、石谷氏は「老化を抑制することが示唆された」と説明した。

研究結果は米科学誌電子版に掲載された。(小川恵理子)

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