創刊45周年 オカルト雑誌「ムー」が手がける、一味違う町おこし

AI要約

月刊誌「ムー」が創刊45周年を迎え、未確認飛行物体や都市伝説などを特集する老舗雑誌である。

編集長の三上丈晴氏は、読者の関心に応えるために工夫を凝らし、各地のミステリースポットを活用した町おこしを推進している。

「ムー旅」などの企画を通じて、知的エンターテイメントの提供やマニアに向けた情報発信を行っている。

創刊45周年 オカルト雑誌「ムー」が手がける、一味違う町おこし

 「国民的オカルト雑誌」とも呼ばれる月刊誌「ムー」が、今年10月に創刊45周年を迎える。未確認飛行物体(UFO)や謎の文明、都市伝説の特集を幾度となく展開し、読者の関心に応えてきた老舗雑誌だ。三上丈晴(たけはる)編集長(55)が毎日新聞のインタビュー取材に応じ、「ネタ」を誌面に落とし込んでいくすべや、このところ力を入れている各地のミステリースポットを活用した町おこしについて語った。

 「7月号(6月7日発売)のムーはすごいですよ。ガチ(本当)です。三軒茶屋(東京)の雑居ビルに出た幽霊がバッチリ写ってますから」

 5月下旬に東京都港区の編集部を訪ねると、三上さんはのっけからテンションが高い。

 1979年創刊の「ムー」は、中堅の総合月刊誌を上回る売れ行きだ。2005年から5代目編集長を務めるのが三上さん。

 その下で、22年に出した「地球の歩き方 ムー 異世界(パラレルワールド)の歩き方」は14万部。今年3月に出した日本編「地球の歩き方 ムーJAPAN~神秘の国の歩き方」はすでに6万5000部を発行している。

 いずれもガイドブックとしては異例のヒットだという。

 「1999年に世界が滅亡する」という「ノストラダムスの大予言」やスプーン曲げの「超能力者」ユリ・ゲラーさんの来日など、オカルトブームの全盛期に小学生だった三上さん。

 「創刊当時から扱っているネタはほぼ同じです」と打ち明ける。「実は、ネタはとっくに尽きています。そう毎日、UFOは飛んでいませんから」とも。

 目の肥えた読者が手に取る雑誌を作るため、さまざまな工夫をしているのだという。

 「オカルトで町おこし」は、「正史に載らないユニークな伝承伝説は全国に多くあり、もっと活用できるはず」との思いから生まれた。

 全国のミステリースポットを訪ね歩く「ムー旅」の第1弾は22年10月に実施し、石川県羽咋(はくい)市の宇宙科学博物館・コスモアイル羽咋など能登半島を回り大好評を博した。

 23年にも青森県新郷村で実施し、今年からは「日本不思議再興計画」として、全国に拡大する方針だ。

 「ムーは知的エンターテインメント雑誌です。マニアは高度な情報を求めています。大胆な仮説を立てて推理するのがムーの醍醐味(だいごみ)です」

 インタビューでは、「地球の歩き方」とのコラボが実現した経緯や、少年時代から続く「ムー」との関わりについて言及。

 さらに「ムー旅」よりも前からあった、ミステリーを絡めた町おこしの先駆事例に三上さんがどう関わってきたかなどについても、縦横無尽に語った。【浦松丈二】