「パワー半導体」量産に提案…名大、プラズマ活用でGaN高速成長

AI要約

名古屋大学のダシヤン・アルン・クマール特任講師らは窒化ガリウム(GaN)の低温成長法を開発した。

プラズマ処理を使用し、窒素と水素から窒素ラジカルを生成することでアンモニア不使用の製造法を確立。

低温でGaNを製造することでパワー半導体製造のコスト低減につながり、窒化アルミニウムや窒化インジウムも製造可能。

名古屋大学のダシヤン・アルン・クマール特任講師と石川健治教授、堀勝特任教授らは、窒化ガリウム(GaN)の低温成長法を開発した。プラズマで窒素ラジカルなどを供給する。原料をアンモニアから窒素と水素に置き換えられる。アンモニアは生産コストの3―5割を占めていた。パワー半導体製造の低コスト化につながる。

窒素と水素のガスをプラズマ処理して窒素ラジカルなどを生成する。基板上でガリウムなどの有機金属と反応し、GaNの結晶が成長する。従来はアンモニアを1150度C程度で熱分解して窒素ラジカルを供給していた。分解効率が低く、大部分のアンモニアが排出されていた。

プラズマを用いると800度CでGaNを製造できた。結晶の成長速度は1時間当たり3・3マイクロ―4・5マイクロメートル(マイクロは100万分の1)と従来法に匹敵する。容器を熱分解窒化ホウ素で覆うことで窒素ラジカルなどの失活を防いだ。

窒化アルミニウムは600度C、窒化インジウムは200度Cで製造できる。低温で成長速度を制御でき、異なる物質を積層しても歪みを抑えられる。パワー半導体の量産などに提案していく。