【山口県】[下松市議会]在任50年の渡辺議員(共産)辞職へ 体調不良・政策通の論客で存在感

AI要約

下松市議会の日本共産党議員団長が体調不良のため辞職することが報じられた。渡辺敏之議員は市議会最古参で、50年にわたり活動してきた。

渡辺議員は下松市議に1974年に初当選し、労働者の権利を守る訴訟の勝訴も経験。合併反対派としても知られ、市政運営に貢献した。

国内では50年以上在任した地方議員は稀であり、渡辺議員の決断に驚きの声が上がっている。辞職後は市民としてふるさとの発展を見守る考え。

【山口県】[下松市議会]在任50年の渡辺議員(共産)辞職へ 体調不良・政策通の論客で存在感

 下松市議会の日本共産党議員団長、渡辺敏之議員(80)=山口県下松市潮音町=が体調不良のため31日付で辞職する。渡辺議員は1974年4月に30歳で市議に当選して以来、今年4月で在任50年を迎えた同市議会で最古参の議員で、政策通の論客として存在感を発揮してきた。高齢とはいえ、任期途中の辞職に驚きの声が広がっている。

 渡辺議員は広島県福山市出身。福山工高機械科を卒業して東洋鋼鈑に入社し、下松工場(現下松事業所)に配属された。67年に日本共産党に入党して、68年に「労働者が休日に休む権利」を守るための訴訟を起こし、78年に最高裁で勝訴が確定した。

 市議には74年に初当選し、現在まで連続13回の当選を重ねた。その間には周南3市2町合併に慎重な姿勢を示す故井川成正市長と行動を共にして、合併協議会から離脱するための理論武装を展開し、合併によらない市政運営の世論を盛り上げる旗振り役を務めた。

 県市議会議長会(会長・永田憲男下松市議会議長)の事務局を兼ねる同市議会事務局は「県内の地方議員で在任期間が50年を超えるのは極めて珍しいのではないか」という。

 国会議員でも在任50年超は“憲政の神様・議会政治の父”の別名を持つ尾崎行雄氏をはじめ、三木武夫元首相や中曽根康弘元首相、原健三郎元衆院議長、桜内義雄元衆院議長、現在の立憲民主党衆院議員の小沢一郎氏の6人しかいない。

 渡辺議員は本紙の取材に「家族や党にも相談して、体調が悪化して議員活動が続けられなくなる前に辞職を決意した。半世紀もの間、自分にしかできない“火中のクリを拾う”活動ができ、後悔はない。辞職後は一市民、一党員としてふるさとの発展を見守りたい」と話している。