岐阜県の首長選投票率、飛騨・可茂地域が上位 市町村ランキング、40万都市の岐阜市がワースト

AI要約

市町村長選の投票率が高い自治体と低い自治体の比較を通じて、有権者の関心の高さや選挙の結果について分析した。

高投票率の自治体では、直近の選挙で現職が敗れる傾向が見られ、立候補者が多い選挙でも有権者の関心が高いことが述べられた。

一方、最低の投票率を記録した自治体では、人口の多い都市や前任者の不祥事が影響していることが指摘された。

岐阜県の首長選投票率、飛騨・可茂地域が上位 市町村ランキング、40万都市の岐阜市がワースト

 基礎自治体と呼ばれる身近な行政のかじ取りを決める市町村長選。住民が直接リーダーを決める仕組みで、関心の高さは投票率に直結する。「平成の大合併」で県内の市町村数が現行の42になった2006年以降、最も高かった市町村長選の投票率を比較すると、人口の少ない町村を中心に飛騨、可茂地域の自治体がほぼ上位を占める結果となった。

 1位は、県内自治体で最も少ない人口約1400人の大野郡白川村。村議選とのダブル選挙になった07年は96・04%で、今回のランキングで唯一、90%を上回った。4年後の11年にも95・80%と高かった。村長選以外の選挙でも投票率は高い傾向にあり、直近の国政選挙では、22年参院選(岐阜選挙区)が86・04%、21年衆院選(小選挙区)が86・39%で、いずれも県内市町村で唯一、80%を超えた。

 2位の飛騨市は、吉城郡4町村の合併から2度目の選挙となった08年に88・26%を記録。同じ候補者同士の構図となった12年も86・23%と高投票率だった。合併前の古川町と神岡町をそれぞれ地盤とする候補者が激しい選挙戦を繰り広げ、投票率を引き上げた。

 3位は人口約1900人の加茂郡東白川村。14年の選挙は88・12%となったが、06年以降で選挙戦は14年のみだった。村議選の無投票も多く、直近では、18、22年の村長選、村議選がそろって無投票となった。

 4位の同郡白川町は、12年ぶりの選挙戦となった09年に85・89%を記録したが、直近で選挙戦となった21年は77・97%に下がった。5位の下呂市は合併から2度目となる08年の選挙が84・60%。以降は24年を除いて毎回選挙戦となったが、いずれも80%台前半から70%台後半と高かった。

 現職が敗れた選挙では、高投票率の傾向が見られた。関市は、新人が現職を破った11年の選挙で62・03%を記録。美濃加茂市は、元市長と副市長だった現職との一騎打ちの構図となった22年に58・80%となり、前回の18年から20・18ポイント上昇した。瑞穂市は、合併前の町長経験者同士の一騎打ちで現職が敗れた07年が51・32%。各務原市は、新人が現職の5選を阻んだ13年に45・78%となった。

 立候補者が多い選挙は有権者の関心も自然と高まる。中津川市は、5人が出馬した12年の出直し選挙で70・02%を記録。加茂郡川辺町は4人が出馬した21年に67・85%となり、前回17年の62・11%を上回った。

 ワースト1位は、県内で人口が最も多い40万都市の岐阜市。10年は39・54%だったが、22年には24・82%と30%を割り込み、06年以降の市町村長選で過去最低となった。町村で最もランキングが低い羽島郡岐南町は、前町長の贈収賄事件を巡る08年の出直し選挙が47・32%で5割に届かず、前町長のセクハラを巡る今年4月の選挙でも42・73%にとどまった。

 一方、立候補者が1人で無投票となるケースも目立ち、06年以降の市町村長選205回のうち、無投票は4割以上の90回だった。

 【投票率】 当日有権者数に対する投票者の割合。衆院選(小選挙区)の県内の投票率は、現行の小選挙区比例代表並立制の導入以降、2009年の政権交代選挙の73.09%が過去最高。参院選(地方区・選挙区)は、衆参同日選となった1980年の80.29%。知事選は、保守分裂選挙となった66年の81.00%が最も高かった。