強まる逆風、消える書店 ネット販売、電子書籍拡大で TSUTAYA鳴和店は9月末に

AI要約

石川、富山県内の書店が次々と閉店している。金澤文苑堂はツタヤ鳴和店を閉店し、清明堂書店もアピタ富山店内から撤退。インターネット販売や電子書籍の普及が背景にある。

金澤文苑堂は金沢市内での店舗展開を集約し、大型店舗でトレーディングカードや古着などの商品も取り扱う方針。清明堂は外商部のみ営業中。

石川では10年で書店数が35%減少、富山も30%の減少。書店組合の組合員数も減少傾向で、個人書店の経営が困難になっている。

強まる逆風、消える書店 ネット販売、電子書籍拡大で TSUTAYA鳴和店は9月末に

 石川、富山県内で書店が次々と姿を消している。金澤文苑堂(金沢市)は同市小金町のTSUTAYA(ツタヤ)鳴和店を30日に閉じることを決定。清明堂書店(富山市)は8月末に同市上袋のアピタ富山店内から撤退し、同社の店舗はゼロになった。インターネット販売や電子書籍の市場が拡大しており、実店舗への逆風が強まっている。

 金澤文苑堂はツタヤのフランチャイズ事業を展開し、鳴和店を含めて金沢市内で3店舗、羽咋市で1店舗を営業。鳴和店は主に1階が書籍、2階がDVDやCDのレンタルを扱っている。近年はネットでの書籍購入者が増え、動画配信のサブスクリプション(定額利用)のサービスも広がり、売り上げが減少していた。

 金沢の大型店舗である金沢店と大桑店に注力するため、鳴和店は建物の賃貸契約が満了するタイミングで閉店することにした。大型店舗では、トレーディングカードや古着、ワゴン販売など書籍以外の取り扱いを充実させており、担当者は「今後もより良いサービスを提供したい」と話した。

  ●清明堂は外商部のみ

 清明堂書店は過去に、富山県内で複数の店舗を展開していたが、軒並み閉店。アピタ富山店内での営業をやめたことで、現在は外商部のみとなった。担当者は「閉店したのは事実だが、何も答えることはない」とした。

 このほかにも今年に入って書店の閉店が相次いでいる。

 石川では8月、金沢市中村町のアピタ金沢店2階にある書店「BOOKS えみたす」が閉鎖。富山では、明文堂書店を運営する明文堂プランナー(富山県朝日町)が1月に富山新庄経堂店と富山掛尾店、2月に富山有沢橋店を閉じ、富山市内の店舗は無くなった。富山新庄経堂店の跡地には、とやま生活協同組合が2025年度にスーパーの開業を予定する。

 文苑堂書店(高岡市)も3月に新湊店、5月に魚津サンプラザ店、6月に野村店を閉店している。

  ●石川は125カ所、10年で35%減 富山は30%減少

 日本出版インフラセンター(東京)によると、今年6月時点の書店数は、石川が125カ所、富山が104カ所だった。10年前の2014年と比較すると、石川が約35%、富山が約30%減ったことになる。

 石川県内で書店を運営する法人が加盟する県書店商業組合では、組合員数は右肩下がりに。今年4月時点の組合員数は33法人で、11年の69法人の半分以下となった。売り上げの落ち込みや後継者不在で、営業が続けられなくなった個人書店が目立つという。