旧門司駅遺構 イコモス「ヘリテージアラート」発出

AI要約

北九州市の複合公共施設建設予定地で旧門司駅の関連遺構が見つかり、ユネスコの諮問機関・イコモスが警告文「ヘリテージアラート」を発出。

遺構保存を求める声が上がる中、北九州市は遺構の取り壊しを進める方針。イコモスからの要請もあり、一時中断や対話を求められている。

日本の遺跡に対するヘリテージアラートは4件目で、溝口教授らは市長に説明する意向。市長は公共施設整備の必要性を主張。

旧門司駅遺構 イコモス「ヘリテージアラート」発出

北九州市の複合公共施設建設予定地で見つかった旧門司駅の関連遺構について、ユネスコの諮問機関・イコモスが3日、警告文となる「ヘリテージアラート」を発出しました。

北九州市は、門司区役所などの公共施設を集約する複合公共施設の計画を進めていますが、JR門司港駅そばの建設予定地では、明治時代の旧門司駅の関連遺構が見つかっています。

北九州市は遺構を記録保存した上で取り壊し、今年度中の着工を目指していますが、ユネスコの諮問機関・イコモスが、遺構の保存を求める声明文を北九州市に提出するなど、一部の市民や専門家から遺構の保存を求める声が挙がっています。

イコモスはさらに、文化的資産の危機に対する警告文「ヘリテージアラート」を北九州市の武内市長らに向けて、3日付で発出しました。

文書の中でイコモスは、「日本や世界にとって重要な文化遺産を、北九州市が軽視していることを深く遺憾に思うとともに、失望している」などとした上で、北九州市に対し、現在行ってる発掘調査や建設計画の一時中断や、市民や専門家らとの対話を求めました。

日本イコモスの国内委員会副委員長を務める九州大学の溝口孝司教授によりますと、日本の遺跡に対するヘリテージアラート発出は4件目で、東京の高輪築堤や明治神宮外苑に続き、3年連続となります。

日本イコモス国内委員会副委員長・溝口孝司九州大学教授「ステークホルダーが危機に瀕している遺産をどういう風に取り扱うべきなのかを、地域的な短い視野で考えるのではなく、長く、世界的な広い視野で考える始まりになってほしい。門司は日本の近代化のまさに象徴であるとともに、プロセスが進行した。国内的というには余りにも矮小化。世界的な研究の対象となって、重要な遺産として世界の研究者が訪れる価値がある」

溝口教授らは、6日にも北九州市の武内市長にヘリテージアラートを直接手渡し、説明したいとしています。

一方、武内市長はコメントを発表し、ヘリテージアラートを「文化遺産の保存と保護に関わるお立場からの大切なご意見」としたうえで、「公共施設の老朽化は待ったなしの状況であり、他に施設を整備する代替地もない」としています。