悲願の「金」見えた 車いすラグビー橋本(三春) 14得点、勝利に貢献

AI要約

日本の車いすラグビーチームがパリ・パラリンピックで豪州を破り、初の決勝進出を果たした。橋本勝也選手が活躍し、延長の末に勝利を収めた。

一方、ボッチャ女子の遠藤裕美選手はシンガポール選手に敗れ、準決勝でストップしたが、初出場ながら銅メダル獲得に向けて闘う姿勢を見せた。

両選手ともに、日本代表としての意地を見せつけ、日本のスポーツに勇気と感動を与えた。

 悲願の金メダルまで、あと1勝に迫った。1日に行われたパリ・パラリンピック車いすラグビー準決勝で世界ランキング1位の豪州に延長の末、52―51で競り勝った日本。橋本勝也(22)=日興アセットマネジメント、福島県三春町=は14得点を挙げ、初の決勝進出を引き寄せた。同日のボッチャ女子個人戦(脳性まひB1)の準決勝でシンガポール選手に1―5で敗れた遠藤裕美(38)=県ボッチャ協会、福島市=は1次リーグからの快進撃が止まったものの、初出場での銅メダルを懸けて日本時間2日午前0時からの3位決定戦に回った。

 相手はライリー・バット率いる世界ランク1位の豪州との準決勝はまさに一進一退の死闘となった。橋本は自慢のスピードを生かして相手のディフェンスをすり抜け、次々と得点を重ねた。時には激しく相手とぶつかっても気後れせずに立ち向かった。自身にマークが集まると、味方にロングパスを通して得点をアシストするなど活躍した。

 第2ピリオドの日本は時間を使い、終了間際に得点を狙ったが、惜しくも奪えず苦しい展開に。2点差を負う時間帯もあったが、主将の池透暢、ベテラン池崎大輔を中心に得点を奪い、最終の第4ピリオドで47―47の同点で終え、初の延長戦に持ち込んだ。

 3分間の延長戦では橋本が最初に得点し、優位に立った。残り数秒で豪州の中心選手ライリーのパスを奪った池からのボールを受けて52点目を入れた。52―51で試合終了のブザーが響くと、主将の池と抱き合い勝利をかみしめた。

■ボッチャ女子 遠藤(福島市) 最終エンド反撃届かず

 遠藤は準決勝で試合前半で流れをつくれず、正確に球を投じるシンガポール選手に屈した。「思い通りのパフォーマンスができなかったのでこういう結果になった」と悔やんだ。

 「メダルは意識していなかった」と話す通り、気負わず笑顔で試合に入った。1点を追う第2エンド、遠藤はコート右奥にジャックボール(目標球)を置いて得意のロングボールを生かす展開を狙った。ただ、相手に第4投を寄せられるとこの球を動かせず、2点を失った。第3エンドにも2失点。最終第4エンドに逆転を狙ったものの、反撃は1点にとどまった。

 相手の球が転がる進路に自身の球を置けなかった。「何度も対戦したことがある。ここにしか転がしてこないというエリアがあるのを知っていたけど、そこにボールをためられなかった」と肩を落とした。

 1次リーグを連勝で突破し、準々決勝はクロアチア選手を7―0で一蹴。熱い声援が飛ぶ会場で持てる力を存分に発揮し、日本勢で唯一、個人戦の準決勝まで進んだ。県ボッチャ協会理事で遠藤を約10年にわたり指導する若松伸司さん(56)=大笹生支援学校教諭=は「仲間の思いを力に、自分がやってきたことを信じて頑張ってほしい」と3位決定戦に望みを託した。