長崎・島原城ゆかりの史料5点寄贈…提供者「わが家の家宝」 築城400年で

AI要約

島原城ゆかりの貴重な巻物や史料が島原市に寄贈された。寄贈物には藩主の直筆書画をまとめた「高来華」や天守閣の柱木片、軒丸瓦などが含まれており、島原の乱を経て入れ替わった譜代大名の歴史を示している。

「高来華」には検地報告書や和歌などが22点収められており、郷土史家が市内の古美術商から買い取った貴重な史料。贈呈式には故郷土史家の家族も参加し、活性化を願う声があがった。

天守閣の柱木片や軒丸瓦は清水家から持ち出された家宝であり、城の存在を伝える意味がある。市長も地域の繁栄に繋げるために活用したいとの意向を示した。

長崎・島原城ゆかりの史料5点寄贈…提供者「わが家の家宝」 築城400年で

 築城400年を迎えた島原城ゆかりの巻物など5点が、長崎県島原市に寄贈された。島原藩主の直筆書画を一巻にまとめた「高来華(たかくのはな)」▽天守閣の柱木片2点▽三の丸表門にあったとされる軒丸瓦2点-で、いずれも城下の商家、清水家に伝わった物という。天下を揺るがした島原の乱(1637~38年)を経て譜代大名が4家にわたって入れ替わった歴史を示す貴重な史料という。

 市教育委員会によると、高来華は島原の乱後を治めた高力(こうりき)家の検地報告書や、その後に福知山(京都府)から入った松平忠房(1619~1700)らが詠んだ和歌「十五夜」など22点が貼り付けられている。島原市の郷土史家、松尾卓次さん(3月に88歳で死去)が散逸を恐れて市内の古美術商から買い取ったという。軒丸瓦とともに保有していた。

 21日に市役所であった贈呈式に出席した松尾さんの長男、知(さとる)さん(56)=福岡県筑紫野市=は「多くの人が史料を見に島原へ来ることが活性化につながる。父の願いでもある」と話した。遺影を胸に、母久子さん(83)と参加した。

 天守閣の柱木片は、明治期に島原城が払い下げられた際、当時の清水家当主が解体現場から持ち帰ったという。寄贈した島原市上の町の清水純一さん(75)は「わが家の家宝。写真にも残らない城の存在を感じてもらえたら」と話す。

 古川隆三郎市長は「地域の繁栄は島原城築城が起点。繁栄し続けるため活用したい」と感謝を述べた。

 (本山友彦)