不登校は「悪」じゃない あすから新学期、子どもの〝SOS〟に気付くには? キーワードは「自己肯定感」「居場所」

AI要約

子どものSOSに気付くためのサインには、自己肯定感の低さや孤立感を表す言動や行動に注目する必要がある。

SOSを見逃さないためには、子どもの発言や行動に注意を払い、普段と違う様子を観察することが重要である。

周囲ができることは、子どもの自己肯定感を高めるために褒めたり努力を認めたりするようサポートし、子どもの悩みや不安に対して共感し、サポートを提供することが大切である。

不登校は「悪」じゃない あすから新学期、子どもの〝SOS〟に気付くには? キーワードは「自己肯定感」「居場所」

 鹿児島県内の多くの学校で9月2日、新学期が始まる。夏休みが明け、学校生活に不安を抱える子どもも少なくない。保護者ら周囲の大人がSOSを見逃さず、気付いたときは、どう対応すればいいのか。県内の専門家に聞いた。

 -子どものSOSに気付くため、保護者や大人はどんな言動に注意すべきか。

 「『私なんて価値がない』『誰にも必要とされていない』といった自己肯定感の低さを示す言葉や、『友だちがいない』など、孤立感を深める様子があれば注意が必要だ。何もやる気が起きずに引きこもるような行動もSOSの一つ。新学期が近づき、自信が持てず自己肯定感が低くなっている子は、学校に自分の居場所を見いだしにくくなる。針のむしろのように感じ、自殺リスクにもつながる」

 -SOSを見逃さないためには。

 「子どもの発言に注意深く耳を傾けてほしい。友だちの誘いに応じなくなったり、急にゲームに没頭するようになったりと、普段と違う行動も要注意。言動が自己肯定感の低下や所属意識の欠如を表していないか観察してほしい」

 -周囲ができることは。

 「積極的に褒めたり、努力を認めたりして自己肯定感を高める手助けをしてほしい。『あなたは価値がある存在』『ここにいていいんだ』と安心感を与えるような声かけも大切。子どもから『私なんて…』といった言葉が出たら、『どうして、そう思うの?』『何かあったの?』と尋ね、苦しい思いに共感してほしい」

 「不登校が悪いことだと感じさせてはいけない。自宅くらいは安心安全な場所にしてあげないと。『夏休みは子どもが家にいるから大変』といった冗談が通じないこともある。ゲームを理不尽に取り上げるのも、居場所を奪うことになるかもしれない。一人で悩みを抱え込まないよう、スクールカウンセラーなどの助けも借りてほしい」

 -新学期に教員が気を付けることは。

 「褒める機会を増やし、個々の努力を認めるような言葉をかけてほしい。孤立を防ぐため、生徒同士の交流を促す活動にも工夫を。担任に限らず、いつもと様子が違う子がいたら声をかけてほしい。心身の状態を答えるチェックシート『学校楽しぃーと』も役立つ。きちんと分析して、孤立していそうだと感じた子どもには対応の検討を」

 なかむら・まさゆき 1967年生まれ、福岡県出身。愛媛大大学院修了。医学博士。鹿児島県いじめ防止等対策委員会の前委員長。鹿児島大大学院医歯学総合研究科教授。専門は臨床精神医学。