<福島第一原発>デブリ取り出し中断から1週間 東京電力会見(8月29日)

AI要約

福島第一原子力発電所2号機で計画されていた燃料デブリの取り出し作業が中断された理由と対応について、東京電力の報告が進まず、再開は来週以降になる見通し。

作業中断の原因はデブリ取り出しロボットの設置の際に犯されたミスで、東京電力の社員の立会いが不足していたことが問題視されている。

現場の士気を高めるためにはトラブルを最小限に抑え信頼を築くことが重要であり、作業の再開に向けて説明と対策を丁寧に行う考え。

<福島第一原発>デブリ取り出し中断から1週間 東京電力会見(8月29日)

福島第一原子力発電所2号機で8月22日から計画されていた燃料デブリの試験的取り出しが中断されてから1週間、東京電力は原因と対策のまとめが完了していないとし、今週中(8月30日まで)作業の再開は断念された。

作業中断の原因は、デブリ取り出しロボットを格納容器の中に押し込むための5本の棒の順番が間違っていたことで、作業の1か月ほど前に設備を組み立てたときから間違っていたと見られ、当時、東京電力社員の立会いがなく協力企業のみで作業が進められたことが問題視されている。

齋藤経済産業大臣は東京電力の小早川社長に対し「猛省を促す」として今週中にも原因と対策を報告するよう求めていたが、関係者によると調整がつかず、大臣への報告は来週にずれ込む見通しで、作業の再開はそれ以降になるという。

東京電力は福島第一原子力発電所で8月29日午後5時45分から会見を開き、作業の中断について「地域の皆様をはじめ広く社会の皆様にご期待、ご関心を寄せていただいているなか、作業初日で立ち止まる結果となったことについて、ご心配をおかけしたことに改めてお詫び申し上げる」とした。

【東京電力による会見】

Q 再開を含めた今後のスケジュールは?

A 現在、原因について社内で取りまとめをしているところ。大臣の方から調査の指示を受けているため、経済産業省と継続的にやり取りをしている。準備ができ次第大臣へ報告すると考えているので、今後のスケジュールで決まったものはない。

Q 原因について現段階でわかったことは?

A いま作業員、元請けも含めて10数名にヒアリングしている。何が悪かったのかを含めて、原因と対策が取りまとまった段階でお知らせする。

Q 経産相への報告書の提出はいつごろを見込んでいるか?

A 経済産業省から事実関係についての確認を受けているところで、具体的にいつと決まったものはない。

Q 今週の作業再開は難しいか?

A 現段階で申し上げることはできない。

Q 進捗がないように聞こえるが、作業員へのヒアリングは一通り終えているのか?

A 適宜ヒアリングが必要になる部分も出てきているので、ここでは申し上げられない。

Q ある程度、実態はつかめていると言えるのか?

A とりまとまった段階でお知らせしたいので、状況は申し上げられない。

Q 再開は早くても来週か?

A 原因と対策の内容を調整中のため、具体的な日取りは答えられない。

Q 作業再開に向けて必要な手順は?

A 我々としては経産相から指示をいただいているので、これにこたえるというのがまず一つある。作業の再開に向けては色々な見直し、振り返りがあるので、やれることやっていきたいが、まずは経産相への報告と考えている。

Q 大臣へのアポイントは現時点でとれていないのか。

A 原因と対策の内容を調整している段階なので、アポイントという具体的な段階ではない。

Q 作業再開は明日(8月30日)はないということか?

A 作業再開ということになれば事前にお知らせしたいので、少なくとも当日急にやりますということはない。

Q 福島県空も再発防止の申し入れがあったが、地元への説明はどのように考えているか。

A 地元の方々についても原因と対策について丁寧にご説明したいと考えている。

Q 説明したうえで再開ということか?

A まずはご説明するということが最初のステップだと思っている。

Q 「丁寧に説明」とは具体的にどういうことか?

A どういったことが足りなかったのか、それに対して我々はどうしていくのかということをご説明したい。

Q 説明会を開くとか、どういう方法を考えているのか?

A 具体的にどういう形でやるのかは決まっていないが、(県などに)個別では必ずご説明したい。我々としてもしっかり情報公開して説明差し上げたいので、取りまとまった段階で事前にお知らせする。

Q 現場が疲れている、現場力が落ちたという認識はあるか?

A 燃料デブリの取り出しは廃炉作業の中で極めて重要な作業だと思っている。地域の皆様をはじめ、この2号機の試験的取り出し作業は色々な形でご関心やご期待を寄せていただいていたと思う。

そうした中、作業初日で立ち止まったという結果になり、私としても大変ご心配をおかけしたことをお詫び申し上げたいと思う。

廃炉作業の基盤となる信頼に関わる事業であるので、1Fの廃炉を預かる責任者として重く受け止めている。

私としては現場が委縮しているということはないと思っていて、この作業は非常に重要な作業なので、責任感をしっかり持ってやっている。

1Fの作業を安全にかつ品質高くやり遂げる最終的な責任は東京電力にあるので、我々もその責任を認識して改めて原因の究明にしっかりと取り組んで、対策をしっかり打ってまいりたい。

Q 長い作業のなかで現場の士気についてどう考えているか?

A 現場の士気は非常に大事なポイントだと思っている。1Fの作業は何かトラブルがあれば非常に注目される場所なので、士気を高めるうえではなるべくトラブルが起こらない、トラブルが起こってもトラブルが大きくならないときに立ち止まるということが非常に大事なポイントだと思う。

そういう意味で今回立ち止まったが、私としては勇気をもって計画と違うことを確認して作業を中断したことは評価したいと思う一方、期待を裏切る形になってしまったことはしっかりと反省しなければいけないと思っている。

長い目で見たときに、1つでもトラブルを減らしていき信頼を得ていく、信頼されている実感を得ることが士気を高めるうえでは一番大事だと思っている。

Q 経産大臣は「今週中にも報告を」とのことだったが、今週は報告できないということは大臣も了承済みか。

A 原因と対策を取りまとめていて、経済産業省とやりとりをしているので、我々が今どういう状態なのかというのはご存じかと思っている。

Q 大臣ではなく経産省のほうと、今週報告は難しいと共有できているということか?

A 経済産業省とは情報共有できていると考えている。