"幻の交響曲"静岡で復活へ 清水フィルが10月に演奏会 團伊玖磨が作曲

AI要約

作曲家の團伊玖磨が作曲した交響曲第5番「駿河」の復活公演が静岡市清水区で開催される。

楽曲は地元であまり演奏されておらず、有志のグループが楽譜を整えて清水フィルが演奏することになった。

公演は團生誕100年を記念し、地元ゆかりの計4曲が演奏される。

童謡で知られる團は、地元銀行の依頼を受けて駿河を作曲し、静岡県の景色を思い浮かべながら制作された。

しかし、楽譜出版は行われず、復活を目指す有志グループが楽譜を保管されていた横須賀市から発見して整えた。

楽団は公演の準備を進め、團先生の思いが込められた曲を演奏することに意義を見出している。

公演に向けて、クラウドファンディングも行われており、楽譜の製本費用を募っている。

 作曲家の團伊玖磨(1924~2001年)が作曲した交響曲第5番「駿河」の復活公演「静岡の音楽」(清水フィルハーモニー管弦楽団主催、静岡新聞社・静岡放送後援)が10月20日、静岡市清水区のマリナートで開かれる。駿河と名付けられながら地元でもほとんど演奏されてこなかった楽曲。有志のグループ「交響曲駿河の演奏会を実現する会」が楽譜を見つけ出して整え、清水フィルが演奏に名乗りを上げ、復活に道筋がついた。

 童謡「ぞうさん」「おつかいありさん」などで知られる團は1965年、地元銀行の依頼を受け、地域の音楽振興のため駿河を作った。富士山や駿河湾など本県の景色を心に留めて作曲したと伝わる。しかし楽譜出版などは行われず、同会によると、同年の沼津市での初演以降は県内で演奏記録は確認できないという。

 「せっかく静岡のために作られた曲なのに、このままでは忘れ去られてしまう」。同区出身の郷土研究家の剣持佳季さん(30)がおととし、地元ラジオの音楽番組で問題提起したところ、賛同者が集まり、同会を結成。遺族に問い合わせて神奈川県横須賀市役所に保管されていた團自筆の楽譜を発見し、読みやすい形式に清書し、楽器ごとの譜面も作った。清水フィルの約80人が、團生誕100年の節目に演奏することが決まった。

 公演に向けて準備を重ねてきた楽団は8月下旬、当日に指揮する松元宏康さん(48)と初めて一緒に練習し、通して音を合わせた。松元さんは「戦後日本を代表する作曲家・團先生の思いの詰まった曲を演奏できる貴重な機会」と言葉に力を込める。

 公演は午後2時開演。駿河を含む地元ゆかりの計4曲を演奏する。前売り1500円、当日2千円。小中学生無料。楽譜の製本費用を募るクラウドファンディングを専用サイト「レディーフォー」で9月16日まで実施している。目標額は45万円。問い合わせは同楽団事務局<電070(5462)9144>へ。