お札(8月27日)

AI要約

新紙幣が発行されて2カ月経ったが、野口博士や他の医聖たちの肖像がまだ見られない。20年前の改刷では3割近くが入れ替わったが、今回は出遅れ気味のようだ。

若い世代では電子決済が8、9割を占めており、10代が全く現金払いをしない状況が進んでいる。スマホで全てが事足りる状況が広がっている。

将来、中央銀行はデジタル円に通貨を移行する可能性があり、手にするお札で暮らしの豊かさを実感していた世代は旧弊と見なされるかもしれない。

 わが古里の医聖・野口博士は、県民との別れがよほど惜しいのか…。新紙幣が発行されて間もなく2カ月だが、恩師の北里さんは容易に姿を現さない。どこを巡っているものやら▼新千円札を手にしたのは2、3回。もともと高額紙幣には縁遠いからか、渋沢、津田両氏には一度もお目にかかっていない。世界に誇る高度な偽造防止技術に、もっと触れてみたいのだが。周囲に聞けば、傾向は同じだった。日銀によると、20年前の改刷では2カ月後に3割近くが入れ替わった。肌感覚ではあるが、今回は出遅れ気味かも▼ひょっとして、これが影響しているのか。都内の不動産会社が6月、20~30代の「お金事情」を調べた。買い物の8、9割は電子決済との回答が最多で4割弱を占めた。1割弱は全く現金払いをしないという。財布にお金を入れていない割合は2割弱で、2年前の約3倍に増えた。スマホで全て事足りるのが平成世代の主流のよう▼令和の子どもが大きくなる頃、中央銀行は「デジタル円」に通貨の主軸を移しているかもしれない。実際手にするお札で暮らしの豊かさを実感していた世代は、もはや旧弊か。〈キャッシュレス 昭和は遠くなりにけり〉<2024・8・27>