自転車横断帯が消えている? 広島県内は2010年と比べ半減 その理由は「自転車に不自然かつ不合理な横断をさせないため」

AI要約

広島県内で自転車横断帯の撤去作業が進められている背景には、「自転車は車両」の原則があり、自転車の通行をより安全にするための取り組みが行われている。

自転車横断帯は運転手や自転車利用者の混乱を招く可能性があるため、警察庁が一部の自転車横断帯を撤去するよう全国の警察に通達し、広島県でも廃止が進められている。

自転車横断帯の設置数は過去数年で減少しており、現在は通行量や危険性を考慮して一部のみが残されている。交通事故の減少が進む中、自転車関連の事故が減らず、県警も対策に取り組んでいる。

自転車横断帯が消えている? 広島県内は2010年と比べ半減 その理由は「自転車に不自然かつ不合理な横断をさせないため」

 横断歩道のそばにある「自転車横断帯」。路面に描かれた自転車のイラストは誰しも見たことがあるのでは? ただ最近、横断帯が消され、その痕跡だけが残った場所をよく見かける。どうしてだろう。広島県警に尋ねると、実は13年前から撤去作業に取り組んでいるという。背景には「自転車は車両」の原則がある。

 7月下旬、炎天下の福山市水呑町の福山商業高校入口交差点で、県警から依頼を受けたレーンマーク工業(広島市安佐北区)による横断帯撤去作業に立ち会った。作業員が抹消機に付いたカッターで路面の横断帯を削り取った。残った部分の塗装をガスバーナーで溶かして、デッキブラシでこするとみるみる標識が消えていった。

 警察庁は2011年、一部の自転車横断帯を撤去するよう全国の警察などに通達した。自転車は道交法で「軽車両」に分類され、原則として車道の左側を通行しなければならない。ただ同法では、自転車横断帯がある交差点では横断帯を通るように定められていた。

 法律にしたがった場合、車道を走る自転車は一度左に寄って横断帯を渡り、再び車道に戻る。左折しようとした車の運転手は、自転車が左に曲がると勘違いし、横断帯を渡ろうとした自転車との衝突事故に発展する可能性もある。警察庁は「自転車に不自然かつ不合理な横断をさせないため」として一部を除いて廃止を決めた。

 広島県内でも自転車横断帯は減っている。中国新聞紙面に「自転車横断帯」の言葉が初めて登場したのは1978年。横断帯が道交法に盛り込まれた年だ。「大型車の巻き込みや無理な横断などによる事故を防ぐため」という設置理由を挙げ、12月27日時点で広島、福山両市を中心に123カ所の交差点に設置されたと記されている。

 廃止の通達が出る前年の2010年には3246カ所に増加。通達によって年々減少し、24年7月時点で1571カ所と半減した。

 ただ自転車横断帯が全てなくなるわけではない。自転車の通行量が多い場合や、車の通行量が多く、自転車で交差点に進入すると危険な場合には横断帯を残す。新設することもある。

 県警は交通事故の全体件数が減少する中、自転車関連の事故は減っていないとして危機感を強めている。ここ数年は自転車が関係する事故が約2割を占める。交通規制課は「交通ルールを守り、安全に利用してもらいたい」としている。