米欧がイスラエル招待を要求 先月中旬に長崎市へ…平和祈念式典への不招待巡り 米大使は欠席へ

AI要約

長崎市が平和祈念式典を開く際、欧州連合(EU)の駐日大使らがイスラエル大使の招待を要求し、米国のエマニュエル駐日大使が不参加を決定したことが明らかになった。

市はイスラエルを招かないことを決定した理由として、国際的な非難を受けているイスラエルの行動と抗議活動による平穏な式典への影響を懸念していた。

他の先進国も含めた大使らが、イスラエルの招待を求める書簡を送ったが、最終的に市の決定に従い、大使参列を取りやめたとみられる。

米欧がイスラエル招待を要求 先月中旬に長崎市へ…平和祈念式典への不招待巡り 米大使は欠席へ

 長崎原爆の日(9日)に平和祈念式典を開く長崎市に対し、日本を除く先進7カ国(G7)と欧州連合(EU)の駐日大使らが7月中旬、イスラエル大使の招待を要求する書簡を送っていたことが7日、分かった。米国のエマニュエル駐日大使が式典を欠席することも判明。6日に欠席を表明した英国の駐日大使と同様、イスラエルを式典に招かない市の判断が主な理由とみられる。【23面に関連記事】

 事実上の核保有国イスラエルは、イスラム組織ハマスとの戦闘でパレスチナ自治区ガザへの攻撃を続け、多数の民間人が犠牲となっていることに国際的な非難が出ている。

 市は抗議活動など平穏な式典を阻む「不測の事態」が起こる恐れがあるとし、6月からイスラエルへの招請状発送を保留。その後も懸念が拭えず7月末に不招待を決めた。ウクライナを侵攻するロシアと同盟国ベラルーシについて6月、運営上の懸念で不招待を表明した。

 一方、在日米大使館などによると、米欧の駐日大使らは7月19日、イスラエルを招待するか検討していた市に対し、連名で書簡を送付。イスラエルが招待されない可能性に懸念を示した上で▽ロシアとベラルーシと同列に扱うことになり誤解を招く▽長崎の式典の普遍的なメッセージを守るため招待を呼びかける▽イスラエルを招かなければ(米欧の)高官が参列することが難しい-などと伝えた。

 市が最終的にイスラエルの不招待を発表したことを受け、各国が大使参列を取りやめたとみられる。米国は今月7日、在福岡米国領事館のアシーケ首席領事が米国代表として参列すると発表。市によると、米国代表は2011年以降、長崎の式典に毎年参列(昨年は台風の影響で市関係者のみ)。エマニュエル大使は着任した22年に参列した。

 鈴木史朗市長は7日の式典リハーサル後、取材に応じ「できるだけ多くの国のハイレベルの方(高官)に参列してほしいが、それぞれの都合でかなわないならば仕方がない。(市の考えを)粘り強く伝えていく」と述べた。