「賃上げの明るい動きが明確に」27カ月ぶりの実質賃金増 夏のボーナス増加が寄与 日経平均株価は乱高下も、賃上げ続くか
厚生労働省が毎月の勤労統計調査結果を発表し、賃金の増加や実質賃金の上昇が報告された。
内閣官房長官は賃上げの動きを評価し、特別支給給与が増加していることを指摘した。
一方で、日経平均株価の乱高下や政府や日銀の政策によって今後の賃上げの推移に注目が集まっている。
6日、厚生労働省は毎月勤労統計調査の「令和6年6月分結果速報」を発表した。
それによると、前年同月と比較して、現金給与総額は498,884円(4.5%増)となった。うち一般労働者が664,455円(4.9%増)、パートタイム労働者が121,669円(5.7%増)となった。
一般労働者の所定内給与は、334,471円(2.7%増)、パートタイム労働者の時間当たり給与は1,338円(4.9%増)となった。
実質賃金については、2022年3月以来、27ヶ月ぶりの増加となった。
8月6日に行われた内閣官房長官記者会見で、林芳正内閣官房長官は「賃上げの明るい動きが明確になってきた」との認識を示した。
また、実質賃金がプラスとなった要因については「ボーナスなどの特別に支払った給与が、対前年同月比で、プラス7.6%と大きく増加したことが寄与している」との見方を示した。
5日、日経平均株価は、歴史的な急降下をたどり、値下がり幅が4451円28銭と過去最大、一転、6日は3217円04銭と過去最大の値上がりとなり、歴史的な乱高下をみせる株価。
日銀が利上げを発表した中、政府が後押しする賃上げの動きが、今後も継続できるかどうか注目だ。
■産業別の現金給与総額は?電気・ガス業が最も多く…
パートタイム労働者を除く、産業別の一般労働者の現金給与総額は以下のとおり。
※現金給与総額と「総額」、特別に支払われた給与を「特別」とし、金額は1万円以下を四捨五入して表記。
総額 特別 前年比 産業
111万円 65万円 -9.5% 電気・ガス業
98万円 60万円 -1.5% 金融業・保険業
95万円 56万円 1.6% 教育・学習支援業
92万円 52万円 9.2% 情報通信業
79万円 39万円 2% 学術研究等
74万円 41万円 1.2% 複合サービス事業
68万円 31万円 3.1% 不動産・物品賃貸業
64万円 26万円 5.7% 鉱業・採石業等
61万円 25万円 12% 建設業
57万円 23万円 2.2% 製造業
56万円 21万円 0.3% 卸売業・小売業
54万円 21万円 -0.2% 医療・福祉
53万円 19万円 9% 運輸業・郵便業
45万円 16万円 1% その他のサービス業
38万円 90万円 6.4% 生活関連サービス等
33万円 50万円 12% 飲食サービス業等
現金給与総額とは、賃金、給与、手当、賞与など、所得税、社会保険料等を差し引く前の金額で、 特別に支払われた給与とは、総額のうち、夏冬のボーナス(賞与)、期末手当等の一時金など、一時的に支払われた給与のこと。