利賀ダム本体工事着手 調査開始から35年 31年度完成へ11日起工

AI要約

南砺市利賀村で建設中の利賀ダムの完成目指し、2031年度を予定。洪水抑止と地滑り対策に取り組む。

35年をかけたダム事業。工事用道路やアクセス道路も整備され、総事業費は1640億円。

ダムの高さ112メートルで富山県内4番目の高さ。水没する民家3軒が移転し、工業用水供給も担う。

利賀ダム本体工事着手 調査開始から35年 31年度完成へ11日起工

  ●庄川流域の洪水抑止

 国土交通省は南砺市利賀村で、1989(平成元)年に調査を開始した利賀ダムの本体を建設する現場作業に着手した。11日、砺波市で起工式を行い、2031(令和13)年度完成を目指す。当初は08年に完成予定だったが、旧民主党政権時代に事業凍結されたほか、地滑り対策でずれ込んだ。完成後は豪雨時に放水量を調整することで庄川流域の洪水を抑止する。

 利賀ダムは1989年の実施計画調査開始から本体工事の本格化まで35年間を要した。今後、ダム本体の基礎を築くため土砂を掘削し、コンクリートで本体を構築する。2031年に試験湛水し、運用を開始する。

 ダム事業ではこれまで、強度不足だった貯水池のり面を改善する工事が行われた。本体建設のため、利賀川の水を一時的に迂回(うかい)させる453メートルの水路「転流工」が7月に完成し、本体工事に入る準備が整った。利賀川の近くまで下りるアクセス道路も整備した。総事業費は1640億円となる。

 工事用道路として国道471号のバイパスを整備する工事が行われており、将来は一般開放される。利賀地区のアクセス道路である国道471号は幅が狭くカーブが連続することから、バイパスの供用で交通アクセスが向上する。

 利賀ダム事業を巡っては、「コンクリートから人へ」を掲げた旧民主党政権時代に凍結されたが、自民党政権で2016年に事業継続が決定して再び動きだした。

 北陸地方整備局利賀ダム工事事務所は6日、建設地で本体工事の説明会を開き、河村陽一副所長は「自然環境への負荷を抑制し、コスト縮減にも努めたい。一日も早い事業完成を目指す」と述べた。

 ★利賀ダム ダムの高さ「堤高」は112メートルで富山県内のダムでは4番目、ダムの幅である「堤頂長」は255メートルで9番目となる。完成後に水没する民家3軒が移転した。洪水調整のほか、砺波の工業用水を供給する機能も持つ。