元カープ選手の父の言葉を胸に16歳が五輪デビュー 比嘉もえ(広島市西区出身) パリオリンピック・アーティスティックスイミング

AI要約

16歳の比嘉もえはアーティスティックスイミングの五輪デビューを果たし、チームとデュエットの2種目に出場。父は元プロ野球選手で、常に体調を心配して助言を送る。

比嘉は父の背中を追い、世界選手権で輝かしい実績を上げてきた。父も比嘉の成功を喜び、誇りに思っている。

比嘉は8年の努力を経て五輪に臨み、チームとデュエットでメダルを獲得することを目指す。

元カープ選手の父の言葉を胸に16歳が五輪デビュー 比嘉もえ(広島市西区出身) パリオリンピック・アーティスティックスイミング

 16歳比嘉もえ(井村ク、広島・観音中出)の五輪が幕を開けた。アーティスティックスイミング(AS)のチームとデュエットとの2種目に出場するチーム最年少の父は、プロ野球広島の元選手だった寿光さん(43)。アスリートの「先輩」からの助言を忘れず、初の舞台を堂々と演じ切る。

 「食事はちゃんと取れてる?」「けがしてない?」。大阪での寮生活や海外遠征中、父からは競技よりも体調を気遣う連絡がよく来る。「てんぐにならないで、周りに愛される選手になろう」。父から言われた言葉は今も胸にとどめている。

 寿光さんは沖縄尚学高時代、主将として選抜高校野球大会優勝に貢献。早大では鳥谷敬(元阪神など)や青木宣親(ヤクルト)らと日本一を経験した。広島入団2年目には初打席初本塁打を放って期待されたが、けがもあり大成できずに6年で引退。だからいつも体調を心配してくれることを、比嘉は知っている。

 そんな父の話題を聞かれることは「嫌じゃないし、もう慣れました」。2023年の世界選手権デュエットTRで金メダルを獲得するなど、実績は父を超えた。その前年の世界選手権で三つのメダルを獲得した時、寿光さんはこう言っていた。「もう『僕の娘が比嘉もえ』ではなく『比嘉もえの父が僕』ですよ」

 広島・天満小2年の15年12月に競技を開始。16年のリオデジャネイロ五輪でチーム、デュエットともに銅メダルを獲得した日本チームを見て「私もこうなりたいという気持ちで練習してきた」という。それから8年。「憧れた舞台ですごい緊張したけど、五輪だから(特別)というのはなしに、いつも通りの感じでいこうと臨んだ」と約3分の初陣を振り返った。

 両親も客席から見つめたデビュー戦は「そっちよりも(プールサイドで技の遂行度を確認する)テクニカルコントローラーの様子が気になってしまった」。演技後の抗議が認められ、3位発進。「チームとデュエットでメダルを取る」と誓う高校2年生の熱い夏が始まった。