畳に流した涙の分だけ強くなった。2人の師が明かすオリンピアンの素顔…柔道女子78キロ級・高山莉加がパリで捲土重来を期す

AI要約

鹿児島県立鹿児島南高卒の高山莉加がパリ五輪柔道女子78キロ級に登場し、金メダルを目指す。

苦難を乗り越えてオリンピアンになった高山は泣き虫だったが、捲土重来の精神を貫き通した。

地元の鹿児島と宮崎からの応援を胸に、成長を続ける高山が20代最後の夏を迎える。

畳に流した涙の分だけ強くなった。2人の師が明かすオリンピアンの素顔…柔道女子78キロ級・高山莉加がパリで捲土重来を期す

 1日夕(日本時間)に始まるパリ五輪柔道女子78キロ級に、鹿児島県立鹿児島南高卒の高山莉加(29)=三井住友海上、宮崎県都城市出身=が登場する。通っていた道場に掲げられた「捲土(けんど)重来」の言葉を信じ、涙の数だけ強くなってつかんだ夢舞台。磨き抜いた寝技を武器に、狙うは金メダルだ。

 国内大会で好成績を収めながら、世界選手権の代表まではなかなか手が届かなかった。五輪出場も後輩に先を越され、何度となく唇をかんだ。

 「よく最後まで諦めなかった。感心する」。小中学時代に教えた柔心館(鹿児島県曽於市)の西郷昌隆館長(54)は、苦難を乗り越えて道場初のオリンピアンになった教え子をたたえる。

 試合に負けて泣き、稽古で思い通りにいかなくては泣く子だった。社会人になってからも、結果が出ずに落ち込むと電話がかかってきた。「一度敗れた者が再起を図る」という捲土重来の意味を繰り返し説き、「泣いた分だけ強くなる」と励ました。

 泣き虫は鹿児島南高に進んでも変わらなかった。卒業までの2年間指導した鮫島将太朗さん(38)=川内商工高教=は「諦めが早く、よく心配した」と明かす。調子にむらはあったが、不思議なことに試合前の練習は駄目でも、本番になると力を発揮するタイプだったという。

 五輪代表を決めた昨年末のグランドスラム東京大会は、鮫島さんにたたき込まれた寝技が功を奏した。以降、国際大会で優勝を重ね安定感が際立つ。「今が一番

、隙がない」と成長に目を細める。

 高山の元には鹿児島、宮崎両県からエールが届く。「地元が二つあるのは自分の強み。応援を力に変えたい」。感謝を胸に、20代最後の夏はうれし涙と決めている。