【挑戦】急逝した冒険家の意思継ぎ 雫石町の小学生 「みちのく潮風トレイル」踏破へ
小学生が亡くなった冒険家の意思を受け継ぎ、みちのく潮風トレイルを挑戦する。
過去の歩みや挫折、再チャレンジの決意。
難所に立ち向かい、隊長の思いを胸に歩み続ける姿。
急逝した冒険家の意思を継ぎ「みちのく潮風トレイル」の踏破にチャレンジする小学生がいます。
28日、岩手県陸前高田市から大船渡市を目指し、歩いた様子を釜石支局柳田記者が取材しました。
28日、陸前高田市の海が見える献花台に花をたむける雫石町の小学6年生松原煌さん。
青森県から福島県までのおよそ1000キロの「みちのく潮風トレイル」の踏破へ挑戦しています。
煌さんが最初にトレイルに挑戦したのはおととし。
親交があった冒険家からの誘いがきっかけでした。
秋田市出身の阿部雅龍さん。
日本人としてはじめて「メスナルート」という道のりを単独徒歩で南極点に到達するなど日本を代表する冒険家でした。
阿部さんはおととし、こどもたちと「みちのく潮風トレイル」を歩くプロジェクトを立ち上げました。しかし、
今年3月、脳腫瘍で41歳の若さで亡くなりました。
2年前、煌さんは途中、何度もリタイアしそうになりながら隊長の阿部さんの励ましを受け、泣きながら1週間をかけて気仙沼市から陸前高田市まで歩きました。
阿部さんが亡くなり、煌さんは深く悲しみましたが、自分には何ができるかを考え、阿部さんができなかった、800キロ以上残ったトレイルの踏破を決意しました。
松原煌さん
「全然信じられなくて、すごく辛かったです。隊長の思いを込めてだけではなく、自分が何をやりたいのか、歩く意味の答えを見つけられるように全力で歩きます」
そして、歩き始めた煌さん、今回は3日間の予定で陸前高田市の高田松原から大船渡市の大船渡温泉までおよそ60キロの道のりを歩きます。
今回は8歳の弟、虎徹さん、スタッフの4人での挑戦です。
震災遺構や、巨大な防潮堤、東日本大震災の爪あとを見ながら歩みを進める煌さんですが、1時間半ほど歩くと・・・
松原煌さん
「足首がちょっと痛いというか、大丈夫です。(Q、がんばれる?)はい」
この日の最大の難所である険しい山道を煌さんは弱音をはかず、黙々と登り切りました。
松原煌さん
「まだ隊長(阿部さん)ほどはがんばれないけど、隊長の代わりとなったつもりで、あきらめないで、おととしみたいにリタイアとか泣いたりとか出来ないし、やらないので気合を入れて楽しく悔いのないようにがんばります」
隊長の思いを受け継ぎ、歩みを進める煌さん、ゴールはまだまだ遠いですが、一歩ずつ前へ進み続けます。