雨はやんでいるのにJRが動かないのはなぜ? 他の鉄道は運行しているのに・・・

AI要約

大雨の影響でJR西日本が運転を見合わせたが、広島電鉄やアストラムラインは通常通り運行し、乗客が殺到した。

広島電鉄は土砂崩れの心配が少ないため運行を止めない方針であり、JR西は計画運休を決定して利用者に周知した。

JR西の雨量による運休は土砂崩れや斜面の危険性のためであり、市街地でも運行を難しくする要因がある。

雨はやんでいるのにJRが動かないのはなぜ? 他の鉄道は運行しているのに・・・

 「雨はやんでいるのにJRが動かない。他の鉄道とばらつきがあるのはなぜ?」。大雨の影響でJR西日本が中国地方の広範囲で始発から運転を見合わせた11日、広島市西区の会社員男性(59)からそんな声が中国新聞の編集局に寄せられた。始発から通常通り運行した広島電鉄(中区)やアストラムライン(安佐南区)との違いは何だろう。理由を探ってみた。

 JR西が広島県内の山陽線や可部線の全線などで「計画運休」をした11日朝、JR広島駅の改札前には、計画運休を知らせる張り紙が掲示され、足を止めて確認したり、駅員に尋ねたりする人の姿が見られた。広島県東広島市の山陽線西条駅まで利用する予定だった南区の20代の女子大学生は「他に交通手段がないので、再開を待ちます」と声を落とした。

 一方の広電は広島市内各所を結ぶ市内線と、宮島口(広島県廿日市市)までの路面電車。行き先の変更が一部あったものの、全ての路線で通常通り運行した。X(旧ツイッター)には「広電が動いているのは神」「助かった」との投稿も。山陽線とほぼ並行して路線が走る宮島線(西広島―宮島口)などでは、普段JRを利用する客が広電に殺到し、通勤時間帯は満員になった。

 広電広報・ブランド戦略室は「列車は市街地を走るので土砂崩れなどの心配が少ない」と説明。同社は雨量によって運行を止める規定は設けておらず、大規模な計画運休は2022年9月の台風14号以降ないという。広島市中心部と安佐南区とを結ぶ新交通システムのアストラムラインは地下や高架を走る。11日は通常通り運行した。

 気象庁は10日、中国地方で11日にかけて大雨が見込まれると発表し、土砂災害や河川の氾濫などへの警戒を呼びかけた。JR西はこうした予報や時間当たりの雨量などを踏まえ、10日に計画運休を決定。利用者があらかじめ日程調整などができるようホームページ(HP)や駅で周知した。

 11日、広島市内は未明から朝にかけ、最大で1時間に12ミリの雨が降ったが、午前5時ごろには小康状態に。一方、山陽線などで運転再開が本格化したのは午後に入ってからだった。JR西日本中国統括本部は「路線は広範囲にわたり、盛り土や斜面がある区間も多い。雨がやんでも斜面の崩壊や土砂の流入の危険があり、レールの点検にも時間がかかる」とする。

 疑問を寄せた男性は広電と並走する区間があることも踏まえ、「市街地など利用が多い区間だけでもピストン輸送できないか」と投げかける。統括本部は「折り返し運転ができない区間があり、乗務員や車両の調整も難しい。降りた先からの移動手段をどうするのかという問題もあり、別の混乱が生まれかねない」と説明。計画運休が浸透する中、「外出を控えるなど安全確保を第一に考えてほしい」と理解を求める。